原作前のプロタゴニスト
家族が増えました!
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ある掛け布団を引っ張り、急いで体にまとわせました。
「入るぞ〜」
キィィィ――。
ぎりぎり間に合いましたが、少年の手はまだ私の尻尾を掴んだままです。
「おはようイッセー」
入ってきたのは、少し年上の雰囲気を持った少年です。
「……何やってんだ?」
「……え〜とですね、これは――」
「尻尾だな?」
「……はい」
見抜かれていました。凄いですが、逆に怖いです。
「……耳を見て思ったんだよ」
何だか、心を読まれたみたいです。
「おーい、起きろイッセー」
ユサユサ――。
「う〜ん、もうあと十分〜」
「……よし、わかった。起きないと言うのなら、お尻ペンペンだっ!」
バチバチバチッ――!!
少年のお兄さんは、手に雷を宿らせて……今まさに叩こうと振り上げた瞬間――。
「っ!!起きました!龍兄さん!」
少年は勢いよく起き上がったのです。
「……起きたか。なら、その手を放してやれ」
「……?あっ!!」
少年はそう言われると、急いで私の尻尾から手を放してくれました。
「その……ごめんなさい!」
少年は私に頭を下げてきましたが、私は――。
「……気にしないでください。少しビックリしただけですから」
あまり気を使われるのは好きではありませんし、何より――。
「……こちらこそ、助けてくれてありがとうございました」
私の言った言葉に少年は首を横に振った。
「ううん、怪我を治してくれたのは、龍介兄――」
「それはおまえだと俺は思うぞ、イッセー。俺は傷を癒しただけで、お前は懸命に世話をした。だからおまえだ」
少年は兄に言われて驚いています。……優しいお兄さんです。
「……そうなのかな?僕の力で少しでも助かったのなら、嬉しいな」
少年は微笑みました。
「……そうか、よかったな。イッセー。俺はリビングで食事の用意をしてくる。着替えを出してやれ、白音が風邪をひくぞ?」
少年の兄は、いたずらな笑みを零して部屋を出ていきました。
「……そうだね。ちょっと待っていて……白音ちゃん」
「……はい」
少年はタンスから洋服を出すと、私に渡してくれました。
名前は……黒歌お姉さまが教えたのでしょうね。
「あっち向いているから、着替えて」
「……はい」
少年が壁側に体を向けたので、私は着替えています。
「……いいですよ。こっちを向いても」
私が言うと、少年がこっちに体を向けました。
すると、少年が手を差し伸べて――。
「手を握って。この家少し広いから……迷うと大変。僕が案内するよ」
「……はい」
私は少年の手を握りました。
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