暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
狂気の始まり
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くる。液体を全て飲み干しても、依然として体中を覆っている脱力感は取れなかった。
ふと、ユウキのほうを見ると、彼女も麻痺したようで、地面に倒れていた。
その目は必死にこちらを見て、その唇は必死に何かを紡いでいるが、麻痺中は
囁き
(
ウイスパー
)
程度の声しか出せないため、その声は届かない。
再びレンは、立ち止まった足音の主に目を向けた。
二十五層フロアボス【ジェネラル・ザ・デュアルジャイアント】は、鼻息も荒く、レンを見下ろしていた。
そして、四つの腕のうちの一つを振り上げ、その手の中にある凶暴な鈍器を振り下ろさんとした。
──ここまで、か──
レンはこれから襲うであろう衝撃から逃げるように、目を閉じた。
そして──
ゴッ!!
凄まじい打突音が部屋に響いた。
「…………え?」
だが、恐れていた衝撃はいつまでたってもやってこなかった。
恐る恐る目を開くと、眼前の巨人は自らの得物を振り下ろした体勢で固まっている。それは、攻撃が終了したということである。
「ど、どうなって──」
そこでレンは見た。四肢の全てを抉り取られ、固い床に横たわっている小さな影を。
「ク……ロ……………」
口から出た言葉は弱々しく、掠れていた。
全て解った。簡単なことだ。レンの危機をクロが身を呈して救った。
ただそれだけ。
もちろんクロのHPは、ボスの攻撃に耐えうるものではなく、すでに全壊している。クロの小さな体は、今にも消え入りそうに明滅していた。
クロは、思わず駆け寄ったレンを見て、一声鳴いた。直後、クロの体は薄青い欠片となって、砕け散った。
「………あ………………あぁ」
レンの伸ばした手は虚しく空をかく。
──と
「が、ああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
レンの右目を激痛が貫いた。
同時に、レンの視界の右半分が赤く染まっていく。そして、その赤い視界に無機質な文字が黒々と浮かび上がった。
【Incarneit system starting】
「…なんだよ……あれ…………」
キリトは呆然と呟いた。
何故なら、突然右目を押さえ絶叫したレンがの体に黒いモヤのようなものが覆っているからだ。さらに、先刻押さえた右目からは、血のような色のモヤが吹き出している。
「……なんなんだよ…………」
キリトが再度呟いた直後、レンはゆらりと立ち上がり、眼前の巨人に向かってゆっくりと歩き出した。
だが、向かってくる獲物を巨人が見逃すはずもない。巨人は四本の腕に持っている凶暴な鈍器を持ち直した。
「レン!!」
堪らずキリトが叫ぶが、時はすでに遅く、レンの幼い体に計四つの鈍器が振
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