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「じゃぁ刹那さんは、この世界の住人じゃない、という事なんですね?」
「はい。付け加えるなら、あなたもそうでない可能性が」

 アインクラッド第五十三層の迷宮区にて、天宮刹那と名乗った少女は、ハリンにそう言った。彼女の語るところによると、彼女は本来ならばこの世界とは違う世界…なんとそこではもうすでにSAOがクリアされているらしい…からきた存在で、この世界は何者かによって現在特定プレイヤー以外から切り離されている状態らしい。ハリンはこの世界が自分が住んでいた世界だと思っていたが、この世界から見れば、ハリンの方が異物なのだ。

 奇妙な事実をいくつも知る、この白い髪の可憐な少女が操る鎌は非常に強力で、出現するモンスターを片っ端から薙ぎ払っていく。ハリンも双刀スキルでモンスターと応戦するのだが、貢献度は天と地ほどの差だろう。

 モンスター達は、ハリンの知る第五十三層の物ではなかった。包帯を巻きつけた様な奇妙な存在……言ってみれば、ミイラ男の様な人型。昆虫のサナギを思わせる、緑色の異形。どれもこれも、本来ならば第五十三層迷宮区どころか、SAO自体にも存在していないモンスターだった。

 彼らには、カラーカーソルやHPバー、ネームタグが出現しない。それは目の前の少女もそうだ。加えて、今現在SAOでは、本来ないはずの流血描写が発生し、また、ペイン・アブソーバーも切られているようだった。

「……ヤミーにワームですか……なぜそっち方向……」
「え?」
「あ、いえ……何でもありませんよ」

 出現したサナギ系モンスターを一撃でほふりながら、刹那は答える。

「ただ……ちょっとだけ、見たことがあるかな、と思いまして。……もしかしたら、ボスの部屋にも、新しいボスモンスターが出現しているかもしれません」
「え……!?」

 現在ハリン達は、アインクラッド第五十三層迷宮区、その最奥部であるボス部屋へと向かっている。理由は至極単純、使えなくなった転移門や転移結晶以外で、他の層に行くためには、迷宮区を通らなければならないからだ。迷宮区最上階、ボスの部屋を通り抜ければ、その先には次の層へと向かう階段がある。プレイヤーやNPCが消滅するこの謎の現象が、五十三層以外でも起こっているのかどうかを確かめなければならない。そのためには、どうしても別の階層に移る必要があったのだ。

「私の予測が正しければ、恐らくお兄様もこの世界に入り込んでいるはずです。彼の助力を仰げれば、敵の情報をもう少し掴めると思います」
「本当!?……でも、お兄様って……?」

 ハリンが問うと、刹那は何を聞くか、と言わんばかりに答える。

「お兄様はお兄様です。私の。……今まで私たちが戦ってきたモンスターは、全て古い特撮番組の敵勢力です。お兄様はあのシリーズの熱狂的なファ
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