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第一章 〜囚われの少女〜
断頭台からの使者
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行かれるのか。そして大衆から、痛いほどの視線を浴びながら死んでいくのだろうか。ゆっくりと向かってくる足音は、少女の恐怖心をひたすらに煽った。
 死ぬ時の痛みなど、単なる通過点にしか過ぎない。そのとき恐怖心は、頂点へと達する。あくまで想像にしか過ぎないが。問題はその恐怖心を感じる瞬間を想う時。
 少女にとっては今がそれだった。あくまで想像だが、その恐怖は頭の中で何度も繰り返される。
 叫びたい。今にも発狂しそうだった。しかし少女はその術を知らなかった。
 ただひたすらに震える体。のども震え、内臓さえ逃げ場を探している。目は焦点を失い、肩や背中、顔から冷や汗が湧き出る。そのうちに肺がひきつり、荒い息をあげた。そんな自分に、希薄な嗤いが込み上げてきた。
 殺されない確率は、一気にゼロに近づいた。あれは確実に死神だ。姿は見えなくとも、少女にはわかった。あんなにも遠い場所からでも感じ取ることができた、氷のような冷たさ。悪寒。揺らぎのない機械的な殺気。
 それを感じた時から、死んでしまったようなものだった。生きた心地はなく、すでに生き物として見なされていないような心地の悪さ。絶望的な、人ではなくなった体。いや、すでに体とは言えないかもしれない。それは心を殺した。
 すぐそこまで迫り来る死の恐怖。感じる事すらしなくなり、それが怯えることはなくなった。



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