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第一章 〜囚われの少女〜
断頭台からの使者
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 それは聖なる騎士の言葉か、死神の言葉か。それとも自分自身による一人芝居だったのか。そのときの私には知る由もない。


――


 黒い服を身に纏った、赤い瞳の男は目を覚ました。
「いててて……」
 固い地面の上、しばらく気を失っていた男は背後がひどく痛む。腰をさすればと低木の葉のカサカサと擦れる音がしたことから、茂みに落ちたのだと気が付いた。
(どうしてオレはこんな所に……)
 おぼろげな意識のまま、自分の記憶を整理しようと試みる。
 だがその中でも、先程意識を失っている間に見た夢が気になった。それは、少女が苦悩する夢。
――あれはレナ姫の記憶だ。
 男には確信があった。先ほどレナ姫と目が合った後、記憶を消したのではなく、記憶を奪ったのだ。あの記憶は、その時に姫が強く思っていたことなのだろう。だからレナ姫の苦悩も記憶として、一緒に吸収してしまったのだ。
 そこで男はあることを知った。
「呪われた少女か……」
 夢が映した記憶の中で、赤い瞳の少女を見た。その少女が姫に向かって絶望の表情で言うのを、まるで自分に言われたかのように感じた。
『私、明日死ぬの。あなたは……私を助けてくれる人?』
 助けてと、言いたいのに言えない。どうせ助からないからと、あなたにはどうせ無理だからと。その想いがありありと伝わってくる。
(オレに……無理だと? オレにはできないと?)
 少女に同情する気などなかった。ただ、少女の報われない呟きを聞いて、一種の怒りとも言えるような感情が込み上げてきた。それは男にとって意外だった。
 それから気になったのは、赤い瞳を持つという事。自分の瞳と同じ色。囚われているという意味。何の意味もなく囚われている訳ではないと、男にはわかった。おそらくは何か秘めているのだ。そして何らかの力を持っている。他人事ではないような気さえもしていた。
 少女はレナ姫と全く同じ容姿をしていた。あの少女の事が気になる。その理由は十分すぎる程十分だった。
「面白い。やってやるよ。オレがお前をそこから出してやる」
 自分に出来ないことはない。男はそう思っていた。少女を決して死なせはしない。それは少女のためではなく、わがままにも似た気まぐれだと。男は心で呟いた。
 少女は今にも命の危機が迫っているはずだ。残された時間に余裕はなかった。
 それでも余裕すら伺える笑みを浮かべており、男はそのまま城へと向かうのだった。


――


――コツ……コツ……。
 暗闇の中、扉の向こう側からかすかな靴音が聞こえてくる。今は幽かだが、それは確実にこちら側にやってくる。そしてそれ以外の音がない事から、その静けさが余計に少女をこわばらせた。
(殺される……)
 この場で殺されるのだろうか、それともどこか、知らない場所へ連れて
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