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遊戯王GX−音速の機械戦士−
―闇魔界と振り子―
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 ――目が覚める。知らない天井とは良く言ったもので、何回かこうして目覚めてはいるが、不思議にもこういう感想しか出て来ない。

 そして岩で出来たようなその天井は、どう見ても慣れ親しんだアカデミアの保健室ではない。同じように岩で出来たような、固すぎるベッドのような物に寝かされているようだ。

「……つっ」

 朦朧としていた意識を目覚めさせて、気だるげな身体をゆっくりと起こそうとする。だが、立ち上がろうとしていたにもかかわらず、上半身を起き上がらせるのみで終わってしまう。

 身体がこれ以上動くのを拒否しているとでも言うべきか、なんだか麻酔でも利いているような感覚だ。代わりにデス・デュエルの影響だった、体力とデュエルエナジーが吸われたような感覚は無――

「――ッ!」

 ……ようやく沈んでいた意識が回復していく。異世界のこと、アカデミアのこと、十代のこと、マルタンの姿をした怪物のこと、明日香のこと――様々な出来事が頭の中を駆け巡っていく。

「明日香っ!?」

 麻酔のような感覚を無理やり振り払い、岩のようなベッドから勢い良く立ち上がる。腕から異世界に来ていた影響で壊れたのか、今まで散々エネルギーを吸い取って来たデスベルトが床に落ちて大破する。

 しかしそんなことには全く構わずに、周りの状況を確認していく。中心にある光が部屋中を薄暗く照らしており、周りには俺が寝ていたようなベッドが無数に陳列されている。どうやら施設はともかく病院のようだったが、俺以外には一人も患者はいない。

「どこだここは……」

 マルタンの姿をした怪物は俺をこの異世界に送る時、記憶が定かではないが《暗黒界に続く結界通路》を発動させていた。その記憶が確かならば、ここはデュエルモンスターズの異世界である《暗黒界》なのだろうか。

 とにもかくにも、考えているだけでは始まらない。まずは病院のようなフロアから出るべく、他の部屋に繋がっていそうな巨大なドアを開ける。

 ギギィ……と壊れかけの廃墟のような音をたてながら、巨大なドアはスピードは遅く開いていく。隣の部屋もまた、こちらのフロアと同じように薄暗く、俺がいる建物自体が廃墟のような物らしい。

 唯一つ、今までいた病院のようなフロアと違う点は、先に住人がいたこと。いや、正確には人ではなく……デュエルモンスターズの精霊たちがそこにはいた。少し見渡しただけでも、《本の精霊 ホーク・ビショップ》のような、低レベルの通常モンスターばかりだったが。

「…………」

 十人程度の数のデュエルモンスターズの精霊たちは、部屋に入ってきた俺を一瞥するなり、そのまま話しかけることさえせずに無視する。……その内の一体を除いては。

「大丈夫……なんですか?」

 物言わぬデュエルモンスタ
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