暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX−音速の機械戦士−
―闇魔界と振り子―
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あぁぁぁ!」

 大げさに怯えるオルネッラに対して、もはや身を守るモンスターがいない彼には、精霊術士 ドリアードの放った光弾が直撃する。慣れないデッキで危ないところだったが……ジャストキルでオルネッラのライフポイントは0となるのだった。

「あぁぁぁ……」

 しかしデュエルが決着するなり、ライフポイントが0になったオルネッラの様子がおかしくなっていく。その場から苦しみながら動かなくなり、身体が足から徐々に消えていっている。

「おい、どうし……」

「待って……ください」

 ついつい、オルネッラに近づいて行こうとしてしまった自分を、後ろに控えていたリリィが引き止める。その面もちは神妙な表情をしつつ、俺の隣に並び立った。

「あれがデュエルに負けた者の……末路です」

 リリィは全く感情を感じさせない声色のまま、苦しむオルネッラのことを指差した。その様子を見て俺は、してはいけない最悪の想像をしてしまう。

「まさか……」

「はい……この世界でデュエルに負けた者は……死に、ます」

 否定してほしかったように震えた声の俺の質問を、リリィが幻想を打ち砕くかのような答えを示す。つまり俺は、デュエルで命のやりとりをしただけでなく……対戦相手を、殺したのだ。

「あ……」

 リリィがデュエル前に怖がっていたのも、オルネッラがトドメを刺す前に怯えていたのも当然だ、この異世界でデュエルに負けた者は何か声をかけるより速く、その姿は消えていってしまうのだから。……この世界で死んだ者は、果たしてどこへ行くのだろうか。

 何も分からない。異世界のことも、明日香のことも、十代のことも、マルタンの姿をした怪物のことも、機械戦士のことも、アカデミアのことも、この世界のデュエルのことも。隣に立っているリリィが何者なのかすら、俺には分からないままだ。

 だが、こんな異世界だろうと分かることもある。絶対に忘れられない……『明日香を探してアカデミアに帰る』という俺の目的こそがそうだ。

 ……俺はしばし、その目的を心に刻みながらも、オルネッラが消えていった場所を眺めていた。


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