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遊戯王GX−音速の機械戦士−
―闇魔界と振り子―
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 リリィの首がコクリと傾いて疑問を示す。デッキが使えなかろうが、俺の答えは決まっている。

「明日香って奴を探しに行く。助けてくれてありがとう」

 マルタンの姿をした怪物は、俺と同じように明日香を先にこの異世界に送ったという。デッキがあるならば大丈夫だろうが、マルタンの姿をした怪物に没収されているか……回復を待たずに捕まってしまっていては。

 どこにいるかは分からないが……彼女を何としても探さなくてはならない。

「それじゃ、出口は――」

「ここを出て行くのはならん」

 相変わらず無表情なままのリリィに、この廃墟の出口を聞こうとした時……しゃがれた声が俺を制止した。先程から俺という存在を無視していた――《本の精霊 ホーク・ビショップ》を始めとする精霊たちだ。

「お前が出て行く時に見つかれば、この場所も発見されてしまう。……この場所から出るのはならん!」

 ホーク・ビショップが激昂して俺に向けた声に、他の精霊たちも『そうだ!』『勝手に行動するな!』と口々に賛成する。見る限りデッキも持っていない彼らには、その闇魔界の軍勢に立ち向かう力はないのだろう。《デュエリスト狩り》が何を意味しているのか、までは分からないが……少しでもリスクがあることはやりたくないらしい。

 彼らが俺を無視していたことにも、これで合点がいった。俺という得体の知れない存在に関わって、何かがあることが怖いのだ。……だが、合点がいったからといって「はい、そうですか」という訳にはいかない……!

「あんたらの事情も分かる。だけど、悪いが俺は明日香を助けに行かせてもらう……!」

 壊れたデュエルディスクを近くの机に置き、アカデミアの蒼い制服を整えながらホーク・ビショップに対して言い放つ。彼らはあからさまに狼狽したが、同時に俺がデッキを持っていないことを見抜いたらしく、ただの力が弱い人間だと分かってニヤリと笑った。

「ならば、力ずくでもここに――」

 ホーク・ビショップの宣言は最後まで続くことは無かった。彼の宣言の途中で、廃墟の天井から振動ともに爆破音が鳴り響き、この建物全体を揺らしたのだ。

「……リリィ!?」

「分かり……ません」

 先程から、俺とホーク・ビショップたちの一触即発の争いを無表情で眺めていたリリィに、振動で倒れないようにバランスを取りながら尋ねるものの、彼女にもこの振動の正体は分からないらしい。つまりは、俺たちの世界における地震のような物ではなく、何か人為的に起こされているものだということ……!?

 ……そしてもう一度爆破音が鳴り響くと、廃墟の天井が爆散するとともに、眩しい光が照らしてこの部屋を照らし始めた。

 いや、天井から現れたのは光だけではなく――

「デュエリストが一
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