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樹界の王
18話
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 簡単な処置を行おうか迷った時、森中がどっと震えた。
 感じたのは、攻撃意思。
 反射的に身を伏せ、周囲を素早く見渡す。
 異常は、ない。そこでようやく、この攻撃意思がボクに向けられたものではないことに気づいた。
 亡蟲。
 森の外へ向かって、駆け出す。
 ある程度の地形は、頭の中に入っていた。
 前よりもずっと早く、バリケードを超えて亡蟲が侵攻するであろう方面に走る。
 遠くで太鼓の音がした。
 間違いない。亡蟲だ。
 ラウネシアの話と食い違っている。亡蟲の侵攻には十日ほどのスパンがあるはずだった。
 活発な動きを見せる亡蟲に、何らかの意図があるのは明白だ。
 長期間に渡って戦闘を続けたラウネシアなら、その真意を汲み取れるかもしれない。しかし、ラウネシアに全てを依存するつもりはなかった。
 この目で、亡蟲の行動様式を確認するため、ボクは深い森の中を駆け抜けた。
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