第一話 赤い転校生その十九
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あ将来はお医者さんか」
「そうかもね、うちの大学の医学部レベル高いし」
八条大学は医学と工学が有名だ、文系では法学である。充実した設備で学べることで世界的に評判がいいのだ。
「天才ドクターになれるわよ、ブラックジャックみたいな」
「例えが悪いけれど白い巨塔とかね」
こちらだと悪役だが、というのだ。
「とにかくあの人凄いのよ」
「抜群の天才だから」
「しかも礼儀正しくて謙虚でね」
先程の薊に対する態度の様にというのである。
「お家はお金持ちでね」
「お祖父さんが凄い科学者でお医者さんだったし」
「その祖父さんの血なんだな」
薊は智和が何故天才とまで言われるのかをそこから考えた。
「遺伝ってあるんだな」
「そうかもね、あの人の場合は」
「トンビが鷹をってこともあるけれど」
「あの人噂じゃ本当にお祖父さん似らしいわ」
「外見もね」
「血筋ねえ、あたしはね」
薊はここで自分のことを考えた、孤児の彼女はというと。
「親父もお袋も知らないからな」
「あっ、薊ちゃんそれは」
「言わない方が」
いいとだ、クラスメイト達は薊の今の言葉には戸惑って返した。
「だからね」
「今の言葉は」
「ああ、いいよ。あたしはあたしだからさ」
薊は笑顔でクラスメイト達の気遣いをいいとした。
「少なくともこうしてここにいるからさ」
「だからいいのね」
「自分のことは」
「そうなんだよ、まあ生まれてすぐに孤児院に入れられたからな」
「ご家族のことは本当になのね」
「知らないのね」
「今も生きているかどうかも知らないけれどさ」
両親の顔も名前も知らない、薊はそうなのだ。だがそうしたことをだ、彼女は全く気にしていないのだった。
そのうえでだ、智和について言うのだった。
「いい脳味噌と顔貰ったんだな」
「性格はわからないけれどね」
「そこはね」
「性格は後天的な部分が大きいからね」
「そっちはね」
「らしいよな、とにかくあの先輩は滅茶苦茶頭がよくて紳士なんだな」
この二つのことだ、薊はとりあえず頭に入れることにした。
そのうえでだ、にかりと笑ってこう言うのだった。
「覚えたよ、じゃあな」
「じゃあ?」
「じゃあっていうと?」
「寝るか、ちょっと」
今笑顔で言った言葉はこの言葉だった。
「授業までな」
「いや、朝まで寝てたんじゃないの?」
裕香は薊の今の言葉には少し呆れた顔になって突っ込みを入れた。。
「寮のお部屋で」
「ああ、ぐっすりとな」
「それじゃあ別に」
「二度目好きなんだよ」
これが薊の裕香への返答だった、それでだというのだ。
「だからさ」
「それで今からなの」
「ホームルームの時間までさ」
「それまでって。もうすぐよ」
「あっ、もうはじまる
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