暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
LAST MAN
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


「貴様の魔法には『2つの弱点』がある」

その言葉に、ジェラールはもちろんミッドナイトも目を見開いた。

(2つの弱点だと・・・?このわずかな時間の中で・・・)

この2人が対峙してからそれほどの時間は立っていないはず。
それなのに2つの弱点を見つけたというエルザに、ジェラールは驚愕を隠せない。

「1つ目は魔法や武具を曲げる事は出来ても、人間の体を曲げる事が出来ないという事だ。もし可能ならば私の()ではなく()を狙った方が早い」

確かに先ほどから、ミッドナイトはエルザの纏っていた鎧を歪ませる。
が、エルザの体は全く歪ませない。

「フン」

ミッドナイトは鼻で笑うと、エルザに手を翳す。
ミシミシと音を立て、エルザの服がエルザを締め付ける。

「そうだとしても、本気を出せば衣服で君を絞め殺せるんだよ」

が、エルザはそれを意にも介さない。

「2つ目はこれだ」

エルザが言った瞬間―――――

「!」

ミッドナイトの頭上に、何本もの剣が展開した。
そして、降り注ぐ。

「なっ!ぐはァっ!」
「私の鎧を捻じ曲げている間、貴様は剣を()()()()()()()
「!」
「なぜ剣の軌道を曲げてかわさなかったのか」

天輪の鎧を捻じ曲げられ締め付けられていたエルザが投げた剣を、ミッドナイトは身を軽く逸らす様にして避けた。
屈折(リフレクター)があるのなら、剣の軌道を捻じ曲げられたはずなのに。

「つまりは曲げられる空間は常に一か所という事だ。自分の周囲か敵の周囲のどちらか一か所だけ。私に魔法をかけてる間は自分の周囲に屈折(リフレクター)を展開出来ない」

大量の剣が地面に突き刺さる。

「ぬう・・・!」
(何という、洞察力・・・)

自分の魔法の弱点2つを見事にいい当てられたミッドナイトは唸り、ジェラールはエルザの洞察力に目を見開く。

「そしてこの“悠遠の衣”は伸縮自在の“鎧”。その魔法は効かん」

そう言うと同時に、エルザは腕を動かす。
伸縮自在の言葉通り、エルザの腕は何の問題もなく動く。

「ん?この鎧を含めると、弱点は3つだな」

そして、悠遠の衣は元の形を取り戻す。
ミッドナイトの魔法の弱点を知った今、エルザは有利に戦える状況にあった。

「くそォ・・・あと少しだったのに・・・」
「勝負はついた」

両膝をつき、悔しそうに呟くミッドナイトにエルザは言い放つ。
が、その言葉は敗北からの悔しさの言葉ではなかった。


「あと少し早く死んでたら、恐怖を見ずに済んだのにね」


その瞬間、音が響く。
ゴォーン、ゴォーン・・・と。
真夜中を告げる、鐘の音が。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ