暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
序章  はじまりの街にて
9.愚者の思考
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 触ったら切れてしまうような雰囲気を纏っているように見えて、ゲーム内での自己紹介でうっかりリアルの名前を言っちゃうこともあるし。
 ゲームが初めてだって言いながら、全然戸惑ったところを見ないし。いつも堂々としているように見える。
 多分、キリュウさんがいなかったら、私たちは三人ともちゃんと戦えなかったんじゃないかな、って思う。
 だって、昨日は本当に怖かった。
 食べて寝れば嫌なことはすぐに忘れてしまうわたしだけど、もう一度戦うなんてことになればそのときの恐怖は蘇って来る。
 でも、戦えた。
 わたしだけじゃなくてネリーも、昨日動けなかったレイアさえも。
 なんていうか安心感があるんだと思う。キリュウさんが大丈夫って言えば大丈夫と思っちゃうし、冷静にって言えば冷静になっちゃう。

 ――あ〜、やばいなぁ。やばいんスよねー。

 あの茅場って人が、わたし達の顔とか体とかを現実のものにしたみたいなんだけど、髪とか瞳とかの色は変わってなかった。
 わたしはそのままの茶髪だけど、ネリーもレイアも現実での髪は金でも銀でもない。
 きっと、キリュウさんの青い髪と瞳もゲーム内だけのものなんだろうけど……あの顔で、あの青い瞳で見つめられると、なんかヤバイ。すっごくヤバイ。
 声を聞くと安心。でも瞳を見るとドキバク。わけ解らんです、はい。
 まあでもねー、あの双子ちゃんたちもきっとやられてるんだよねー。
 ネリーなんか最初っからやられてるし。
 レイアも、あの子が歳の近い男の人とちゃんと喋ったのなんてかなり珍しい。幼馴染のわたしが言うんだから間違いない。
 でもなー。ネリーは精神的に子供過ぎだし。レイアは遠慮しぃだし。わたしは……だし?
 てか、そんなことを考えてる余裕がある状況でもないのか。
 はぁー、わたしってホントしょうがない奴だよねー。ホント、わたしって《愚か者》だ。

「キリュウさーん! あたし、やりましたー!」

 あ、ネリーがイノシシを倒したみたいだ。
 すっごいはしゃいでる。まあ、わたしもだったんだけどね。
 ってあああ、キリュウさんに抱きついて……うーん、子供はいいッスなぁ無邪気で、うぅ。
 だけど、これでわたしたち三人、あのイノシシにリベンジ出来たんだなぁ。正直、こんなにあっさり行くなんて思わなかったけど。
 きっと、ネリーもレイアも同じことを考えてると思う。

「――チマ〜! まだ日も高いから、もっと戦いの経験を積むってよ〜!」

 おっと、少し離れた所からネリーが呼んでる。ぼーっとしすぎてしまったみたいだ。

「わかったッスー!」

 わたしは両手を振ってネリーに応えて、小走りでみんなの所に向かった。





 三人だけだと無理だけど、キリュウさんが近くにいてくれ
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