暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
君は自由だ
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「エルザとは誰なんだ・・・?何も思い出せないんだ」

何も思い出せない―――――。
自分の事も、目の前に立つエルザの事も、ジェラールの記憶にはなかった。
否、その記憶すら消えていた。

(コイツ・・・記憶がねえのか!?)

コブラの目が見開かれる。

「ジェラール・・・」
「く・・・来るな!」

視線を下げ、つかつかとジェラールに歩み寄るエルザ。
そんな彼女に怯えるように、ジェラールは魔法を放った。
魔法は直撃し、煙が晴れ―――――

「く・・・来る・・・な・・・」

エルザは立っていた。
額から血を流しながらも、しっかりと立っている。

「ならばお前が来い」

煙を切り裂くようにして、エルザは1歩1歩足を進める。

「私がエルザだ。ここまで来い」

ジェラールの表情が戸惑ったように変わり、瞳が揺れる。
エルザはゆっくりとジェラールの事を語り始めた。

「お前の名はジェラール。私のかつての仲間だ。だが乱心したお前は死者を冒涜し、仲間をキズつけ、評議院さえも破壊し・・・シモンを殺した」

わざわざ罪を隠す事はしない。
ジェラールを語る以上、彼の全てを語るのだ。
それがどんなに重い罪であろうと。

「それを忘れたと言うつもりなら、心に剣を突き立てて刻み込んでやる!ここに来い!私の前に来いっ!」

力強いエルザの叫び。
それにジェラールは体を小刻みに震わせる。

「オレが・・・仲間を・・・そんな・・・」

その震えに恐怖はない。
一瞬にして突きつけられた自分という存在、自分の犯した罪へのショックが震えとなっていた。

「オレは・・・何という事を・・・オレは・・・オレはどうしたら・・・」

左手で顔を抑え、辛そうに呟く。
隠れていない右目からは涙が溢れていた。
それを、エルザ自身も小刻みに震えながら思う。

(これが・・・あのジェラール?まるで・・・)











「ん?」

樹海の奥地。
滝壺に落下したナツ、ルーシィ、ルーの3人は―――

「痛た・・・」

目を覚ましたルーシィはズキズキと痛む左腕を抑えながら起き上がった。

「あれ?治療・・・」

左腕に触れたルーシィは、そこに包帯が巻かれている事に気づく。
その包帯には乙女座のマークが描かれていた。

「てか何!?この服」

そしていつの間にか服が変わっていた。
ホルターネックの青いワンピース。髪はツインテールになっている。

「星霊界の御召し物でございます。ボロボロでございましたので」
「バルゴ!?」

ルーシィの問いにバルゴが答えた。
滝壺へ落ちた3人の治療や着替えはバルゴがやってくれたらしい。

「!ここ・・・どこ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ