暁 〜小説投稿サイト〜
アマガミという現実を楽しもう!
第15話:ラブリー入部
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

と俺は緩み始めた緊張の糸が再び張り詰めていくのを感じた。が、どうにも身体に力が入らない。壁に身体を預けて、音のするほうをじっと見るだけで精一杯である。自分が奴らに見つかって、ボロ雑巾になる姿を浮かべてげんなりする。


「拓君?こんなところで何をしているの?」
「たっくん、案内は終わったの?」


 足音のする方向には見知った姿を見かけた。俺は味方を見つけ救われた気持ちになり、そこで緊張の糸が切ってしまった。下半身に力が入らず、壁にもたれかかったまま座り込んでしまった。森島、知子、響が何かを言っている気がしたが、俺にはもはや何も聞こえてこなかった。…もう駄目だ、眠い…


















 無理な姿勢で眠ったことと全速疾走を何度も繰り返したせいで、俺は翌日筋肉痛に悩まされることとなった。登校では自転車のペダルを踏むたびに脚が軋み、激痛が全身に走って顔が何度も苦痛を主張するように歪んだ。登校の最中に、何度も響と知子に心配されたものだ。
 教室に入った時は、昨日の騒ぎが嘘のように穏やかでまったりした空気が出迎えてくれた。俺を見て特に騒ぎ立てる奴もなく、俺に対して軽く挨拶したり筋肉痛を心配してくれているくらいだった。身構えていた自分が馬鹿みたいに思えて拍子抜けしてしまったほどに空気が昨日と違ったのだ。
 昨日のことは良く覚えていないが、知子と響の話を聞くことによると、途中で俺は壁にもたれかかったまま気を失い、死んだように眠っていたそうだ。俺が眠っている間に知子は、男子を逆に萎縮させる勢いで追い掛け回し、俺の様子を見せて自分達のした結果が人に迷惑を掛けたことを見せたらしい。後日俺に謝りに来たクラスメイトの一人は、「あの時の川田の威圧感と怒気は半端無かった。殺されるかと思った」という評価を残している。取りあえず、「あいつを怒らせると物凄い恐いから、二度と怒らせないように」とだけ、俺は彼に伝えた。
 起きた時には6時を回っていたくらいだ。着ていた服は、汗まみれの制服から部活のジャージとTシャツに替わっていた。誰かが着替えさせてくれたのだろうか、と知子と響に尋ねると二人は揃って顔を真っ赤にしたことから、おそらく二人が着替えさせてくれたことを推測する。俺の裸なんか部活のレースで見慣れているはずなのに恥ずかしいもんかね。……下着まで替えされていたから、その点が非常に気になったが。
 クラスに入って自分の席の前に注意を向ける。森島がクラスメイトから質問攻めにされたり、夕月・飛羽ペアに茶道部に来ないか、と時期外れの勧誘活動に巻き込まれたりしていた。


「よう、おはよう」


 俺は会話という嵐の中心に近づき、何気なく挨拶をする。森島と周囲の愉快なクラスメート達は、俺の姿を見ると、「うっす
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ