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ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
番外中編
蒼空のキセキ3
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 唯一それを伝えたのは、シドだった。

 ―――私は、この世界が好き。
 ―――この世界の全部を、楽しみ尽くしたい。

 そう伝えたとき、彼は何を思ったのだろう。
 私にも読み取れないような表情のあとの、一言。

 ―――分かった。

 それだけだった。

 それ以降、彼は私のためにたくさんのクエストを探してくれた。冒険ものが大部分だったが、製作ものや謎解きもの、勝負ものもあった。その中には危険なものも、そうでないものもたくさんあったが、共通していたことは彼はそのどれもに細心の注意を払ってくれたこと、そして危険な時はいつだってそばに……いや、一歩前にいてくれたことだった。

 今回のクエスト、《大空の主》も、「危険なもの」になるだろう。
 決して少なくない命の危険のあるもの。

 ―――でも、それがなんになるのかな。

 私たちの生き死になんて、あっけないものだ。たとえ第一層の『始まりの街』に引きこもったとしても、ふとした拍子に圏外に出て命を落とすことだって……いや、人間は死ぬときは石ころに躓いたって死ぬのだ。

 そして逆に、どんな死地にあったって、生き抜くことはできる。
 実際『攻略組』のみんなは、そうやって苛烈な日々を生き抜いている。

 だから私は、決して妥協しない。
 そして彼は、いつもそんな私と一緒にいてくれた。





 クエスト、《大空の主》の舞台は、ダンジョン、『スカイステップ』。
 それの形状を説明すると、古びて所々の壁の崩れ落ちた円柱形の塔、と表現できるだろう。

 全四階層、そしてその天井部分が崩れ落ちた形の塔。
 その最後の戦いとなる空の主との決戦は、その最上階……の、さらに上。

 雲の上を舞台とした、不安定な足場での三次元的戦闘が求められる空中決戦となる。

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