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銀河英雄伝説 アンドロイド達が見た魔術師
名探偵ヤン艦長の推理 人形師のお宝を探せ その一
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スケジュールが繰り上げられての実戦投入だから、艦長席の机に座ってぼやくヤンの気持ちも分からないではない。
 なお、なかなか椅子に座らないヤンの為に、緑髪の副官が座布団を用意したのでなおの事座らなくなったのだが、それで心地よく指揮ができて生存率があがるのならばとクルーのみんなは既にさじを投げている。

「どうせ誰かがしなければならない事です。
 給料分の仕事はしましょう。艦長」

 副長のパトリチェフ中佐が気楽に言ってのけるがそれに口を挟んだのは副長補佐という形でこの艦橋にいる緑髪の女性だった。

「私の初の実戦ですから、できれば勝利で帰りたい所です」

 戦艦セントルシアの実体化AIである。
 標準型戦艦だったセントルシアはヤンの艦長就任前に改造が施されており、防御面とネットワーク関連の強化が追加されていた。
 そのネットワーク関連の最大の目玉がこの実体化AIである。
 アンドロイド一体と戦艦のAIを直結リンクで結んで、視覚的・感情的配慮がなされたが、その性能はスタンドアローンで動く事を前提にネットワーク化が作られているアンドロイドに比べて、大容量の戦艦AIを利用しているだけに超高性能となっており、彼女の指揮によって戦艦内のドロイドは管理運用されているのであった。
 なお、その根幹プログラムはアンドロイド達が大量にかき集めたデータから作り出されているので、乙女プラグイン実装済み。
 メンタルモデルとは言ってはいけない。実体化AIである。
 何でこんなものが作られたかというと、人形師はアンドロイド達の運用に先立って、個艦主義なるものを主張していた。

「最終的には、戦艦一隻に一人人間が要ればいいんじゃないかな。
 全員機械だと反乱された時に手がつけられないぞ」

 古き良きSFマニアだった人形師は機械に全幅の信頼を持っていないというよりも、その可能性が人の最後の理性になる事を期待してこの主張をしたらしい。
 全部機械に任せて、空の網なんて出てきたらたまらないからだ。
 で、戦艦一隻に人間一人という世界になると、機械と人間の関係が更に密接化せざるを得なくなり、パートナーとしてのコミュニケーション能力が大事になってくるからに他ならない。
 既に、第三世代以降の駆逐艦ではアンドロイド一体が常に乗り込んで艦をサポートしているが、人間関係ともなるとアンドロイド一体で処理できるにはまだ人間は複雑怪奇なのだった。
 軍隊の常ではあるが、艦が大型化するに連れて人間関係がらみの問題が頻発化しており、セクションごとの軋轢なども絡んで問題が発生しやすい下地になっていた。
 その実験という形でセントルシアを選んだという建前の元、原作が参謀畑で中間管理職をすっ飛ばしていたヤンのフォローをしているなんてヤンが知る訳も無く。
 戦艦セン
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