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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
記憶を綴じて ─フェンサー(T)─
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ントと共に聖杯戦争に参加することになったのは、確実に不幸と言えることだ。



 たとえそれでも。

 叶えたい願いがあった。



 私の望みが成就するかは、聖杯戦争を勝ち抜くまで解らない。
 でもこの身が彼のサーヴァントとして在るかぎり、必ず叶えられると信じている。

 だって彼は、私に縁のある物なんて、何一つ持っていないのだから。





 本来繋がるはずのない私とレイジの間にある、本当に小さな、けれど確かにある絆を。

 今だけは、信じさせてほしい──────





──────────Interlude Out──────────















 陽が沈み始め、赤に染まる空を見ながら帰路についている。

 元々帰る予定だった時間から、二時間近く遅れている。
 ただでさえ拗ねているフェンサーを待たせたとあっては、どんな無茶を言い出すか分かったものではない。

 急ぎ足で進みながら、もうじき見え始めるであろう家を見やる。

「どうする……またビーフストロガノフでご機嫌取るか? でもいくらなんでも二日連続で同じものってのは…………
 いっそ開き直るか? サーヴァントが飯要求してんじゃねぇ……いやいや、それで万が一にも信頼関係が揺らいだりしたら笑い話だ」

 具体的な対策など思い付かぬまま、足だけは進み続ける。

 どうする、どうする?
 むしろ感情豊かで人間らし過ぎるフェンサーの方がサーヴァントとしておかしいんじゃないのかとか、そういう根本的な疑問へと行き着くもそれでは解決にならないと思考を変える。

 俺とフェンサーは基本的には主従関係なんだから、俺がマスターとしてドッシリ構えてればいいんじゃないか?
 大事なパートナーとはいえ、どちらが立場的に上なのかはハッキリさせておかねばなるまい。

 うん、そうだ。
 今までアイツのワガママを聞きすぎてた節はあるし、ここらでいっちょガツンと言ってやらないと。

 俺の言う事には絶対服従…………とまではいかなくとも、こっちをもうちょっと尊重しろぐらいは言わないと、うん。

 そんなこんな考えてるうちに、家の前まで辿り着いてしまった。

「はあ。まぁ出たとこ勝負だな」

 玄関の鍵を開き、ただいまー、なんて声を掛けながらリビングの扉を開く。

「なぁフェンサー、ちょっと話し合いたいこと、が……あ……る…………」
「あ、マスター。お帰りなさい」

 瞬間──さっきまで考えてたこととか、イリヤスフィールと話したこととか、学園でのこととか、てゆうか今日一日あった出来事が全部吹っ飛んだ。





 なに、なんだ、何事だ?

 俺なんか
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