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自由惑星同盟最高評議会議長ホアン・ルイ
第五話
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盟政府が同盟軍部に要求したのは帝国軍の殲滅ではなく当然撤退をさせることだがそれだけでも今の同盟には無理難題に見える。
 同盟政府から万が一に備え対帝国用の防衛計画を立てるよう要請を受けた同盟軍部はその意を受け敵を撤退させることを念頭に作戦を立てた。さまざまな作戦案が提案されたがその作戦案のほぼすべてがあくまで全面的な交戦をさけ敵の補給能力の限界を待つという受動的な作戦だった。そのなかで一風変わった積極的な作戦案を提出した者がいた。それはやはりと言うべきかヤン・ウェンリーが発案したものだった。さまざまな議論が重ねられた結果、ヤンの案が大筋をなし細かいところが改変された作戦案が採用されることになる。

 帝国軍の再侵攻は確実。軍諜報部、旧フェザーン商人などさまざまな経由先を通って同盟政府首脳部にもたらされた情報は帝国軍の再侵攻は決定的と断定させるにいたった。前々から水面下で準備が進められていた同盟軍の拡張、再建はさらに加速されることになる。その時点で情報から間接的にもたらされた帝国軍の規模は侵攻軍だけで約十万から十五万隻規模と算出された。

「以上の情報を持ちまして帝国の再侵攻はほぼ間違いないと思われます」
 軍諜報部の報告を受けた同盟最高評議会のメンバーはうなだれた。現実をそれなりに見ているものなら今の同盟が帝国に軍事的に勝つなどとということは普通に考えて不可能、楽天的に考えても現実的ではないと考えるだろう。
「これ以上、情報を隠す必要を認めない。即刻事実を公表し帝国に宣戦布告するべきだ」
 というのは原理派、強硬派の意見。
「帝国とことを構えても勝てる見込みは寸分もない」
 というのが穏健派である。
 双方ともに前者は帝国と戦っても勝つのは難しく、かといって後者は戦争回避で切る可能性も低くとどちらも賭けの域を出ないのが現状だった。そして今のところ前者の方が優勢であるのはヤンの作戦案のせいだ。最高評議会のメンバーにはその作戦案がすばらしいものかどうか判断する能力はない。彼らは軍の専門家ではないのでそれはしょうがないことだろう。内容がわからないのでヤンの功績によって判断した結果作戦案は非常にすばらしいものということになった。なにもヤンが第二のロボスではないという保証はないのだが。



これに対し同盟軍が用意できるであろう艦隊は4万隻程度だと思われた。
 この時点で帝国軍はまだ出兵を決めてはいなかった。あくまでもしもの時のための準備程度に過ぎない。しかし帝国にとっての小規模は同盟にとっての大規模である。



 チュン・ウー・チュンは既に高齢であるビュコック元帥の変わって来たるべき帝国の迎撃の準備を急速に進めていた。ヤン・ウェンリーが立てその他多くの将兵の意見を取り入れた戦略は時間的に非常に厳しい条件を満たさなければ実行で
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