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【ネタ】 戦記風伝説のプリンセスバトル (伝説のオウガバトル)
14 黒騎士と伝説 その三
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挑む以上、情報だけでもと努力したまでで」

「なるほど。
 ゼノビア攻防時のあの手際はそれか。
 納得した」

 知ってて手を打ったなんて誰も信じないだろうからね。
 皆が信じるだろう嘘を用意すると、私がなんか悪役にやったような気がするのが困る。

「この第四次光焔十字軍は我々にとっては僥倖です。
 遠慮なく利用させてもらいましょう」

 私の言葉に眉をひそめるのは大神官ノルン。
 そりゃそうだ。
 彼女からすれば分家に頭を下げると取られかねないからだ。

「大神官。
 何もローディスに頭を下げろとは私でも言いませんよ。
 ローディス教国がこっちに侵攻する場合、カストロ峡谷からになるでしょう。
 そして、そこからこっちに来る為にはカストラート海を超えなければなりません。
 カストラート海がこちらについている限り、こちらへの侵攻はできないでしょうね」

「それは、カストラート海がこちら側についている事が条件だ。
 先の黒騎士ガレスの侵攻を見れば分かるとおり、人魚の女王ポルキュスはゼテギネア帝国についているぞ」

 元ゼテギネア帝国の人間であるデボネア将軍が口を挟むが、その問いに答えたのは私ではなく今まで黙っていたデスティンだった。
 実に気楽に事も無げに言ってのけたのだった。

「どうせエリーの事だ。
 手は打っているんだろう?」 

「打ってないと言ったらどうするつもりなのよ?」

「それはないよ。
 だってエリーだもの」

 無条件の信頼を示されたと思えばいいのか、ある意味馬鹿にされたと受け取ればいいのか微妙な所である。
 私はため息を一つついて、手の内を晒す事にした。

「打っているわよ。手は。
 帝国軍が撤退してくれたのでやりやすくなったわ。
 大神官ノルンにも協力して頂きたい。
 人魚の女王ポルキュスをこちら側に引きずり込みます」



『大神官ノルンによる布告
 大神官ノルンの名において以下の事を布告する。
 人魚の肉に不老不死の効果は存在しない』

 政治とはカジノにおけるギャンブルに似ている。
 現金をそのまま賭けるのではなく、チップに変換して賭けている所だ。
 何が言いたいかというと、戦闘に勝った勝利を政治に換金しないと勝ちの価値がないという所。
 一応しゃれのつもりなので笑うならば笑ってほしい。
 大神官ノルンに出してもらったこの布告が女王ポルキュス崩しの第二手である。
 黒騎士ガレス率いる帝国軍の敗退は第一手としてポルキュスの足元を激しく揺さぶっているだろう。
 そりゃそうだ。
 人間がマーメイドを長年にわたって迫害していたから、『なんで人間様が、人魚なんかにアタマを下げなきゃならないの?』という声が出ない方がおかしい。
 
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