暁 〜小説投稿サイト〜
魔法科高校の神童生
Episode21:Project of color
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ったな」

「お兄様…」

珍しく弱音を吐いた達也のことを深雪が支えるように寄り添った。そんな二人の様子を見て溜息をついた隼人は、取り敢えず懐から携帯端末を取り出した。

「…もしもし父さん?うん、人質二人は無事に救出したよ。これから帰還します」

櫂へ報告を済ませ、隼人は未だ眠る雫を抱きかかえた。

「早くここから出よう。それで、俺が雫を運ぶから達也たちはほのかをお願い」

「わかった。行こう、深雪」

「はい」

流石に、腐敗臭の酷いこの空間に長時間いるのは厳しいものがある。達也がほのかを抱きかかえ、階段を上り出したのに深雪が後をついていく。隼人も、地下施設の出口となる階段の一段目に足を乗せて、そして振り返った。

(…カラーズ計画に、十字の道化師(クロスズ・ピエロ)。もっと詳しく調べる必要があるか)

もう一度、先ほどの少年がいた場所に目をやって、隼人は萎える足に力を入れて階段を上り始めた。




















「……ん」

「あ、雫気がついた?」

先ほどまで誘拐され、人質として気絶させられていた雫が目を覚ましたのは地下施設から出る階段の途中でだった。
寝惚け眼のまま声がした方へ目を向けると、安心したように笑う隼人の姿。

「隼人、さん…?」

「うん、もう大丈夫だよ。あの組織はここから撤退させたから」

あの組織、とは雫を誘拐した組織のことを言うのだろう。それを理解した雫はそっか、と隼人に返すと、ハタと自分の体勢に疑問を覚えた。
自分は今まで寝ていたのだから、移動しているのは誰かに運ばれているのだろう。それで、少し顔を上げれば、まだ少し幼さの残る顔立ちの少年の姿。つまり、これは所謂お姫様抱っこという状態なのだと、雫はゆっくりと、冷静に理解していった。しかし、理解してしまったら冷静でいられなくなって、雫は頬に熱を感じた。

「あ、の…は、隼人さん?」

「ん?どうしたの?」

今更ながらに自分の体勢を理解した雫は、恥ずかしさからか隼人に話しかけていた。しかし話しかけてから考える。もし、自分がこの体勢が恥ずかしいと言ったら隼人はどうするのだろう?女心の分からない彼のことだ。下手をしたら担がれるかもしれない。
などと、本人が知ったら本気で落ち込みそうなことを考えた結果、雫は誤魔化すことにした。

「ううん、なんでもない…」

「?」

そんな雫に疑問符を浮かべていた隼人だったが、階段を上り切ったときに思い出したように口を開いた。

「雫、疲れてるでしょ?寝てていいよ」

「え?」

隼人にそう言われて、雫は急に体が重くなった気がした。それと同時に睡魔もやってきて、視界がぼやける。
ただ気絶
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