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魔法科高校の神童生
Episode21:Project of color
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そのことを素早く理解した達也は、妹を安心させるために自分の知っていることを話すことにした。

「九十九家は百家の一つとして知られているけど、他の家のように何代も連なってできた家系ではないんだよ。聞くところによると、隼人でまだ二代目だそうだ」

背後で息を呑む気配があった。
普通、魔法の名家とは何代も連なってやっと名家と呼ばれるようなレベルに達することができる。だが、九十九家はそれをたった二代、正確に言えば初代から魔法の名家である百家の一つと数えられる。その異常さは、十師族である深雪だからよく理解できた。

「九十九家は表では何でも屋をやっているみたいだけど、実際の本業は裏世界だろうね。近隣国での武器類の密輸管理をしているそうだ」

それも異常なことだ。たった二代までしかない家が、他家を差し置いて裏取引の一切を取り仕切っているとなると、いよいよ『九十九家』という組織の異常さ、そしてどれだけ恐ろしいのかは容易に想像できた。

「けど、九十九家の真の本業…それは、暗殺なんだ。一応政府が手綱を握っているみたいだけど、いつ命令を無視してこの国自体に牙を剥くか分からない。その面では、九十九は四葉より危険視されている、んだが……」

言葉の途中で兄が歩みを止めたのを見て、深雪もそれに倣う。
丁度踊り場となっているそこに、一人の男が立っていた。

「…ふむ、司波兄妹か」

二人の姿を見てそう呟くと、男は唐突に地面を足で踏み鳴らした。途端、達也と深雪の足元のコンクリートが崩れた。

「くっ…!」

「きゃっ!?」

二人の足場を崩す程度だった穴はやがて広がり、大穴となって二人を下の階へ突き落とした。

「さて、私も自分の責務を果たすとしようか」

静かな声音でそう呟いた男は、下の階まで落ちた達也たちを追うように自分も穴から飛び降りた。

















(遅いな…これはなにかあったと考えるのが妥当かな)

いつまで経っても上がってくる様子のない達也と深雪にしびれを切らして、隼人は先ほどの奇襲によって開け放たれた部屋へ入った。注意深く周囲を伺うが、地面で倒れ伏す男達以外の気配を感じることはなかった。

「なら、あとはあの部屋だけだね」

薄暗い部屋の奥に、隠されるように存在している扉。そこは、隼人が二人の囚われている場所だと目星をつけた部屋だった。
用心して、扉のドアノブに手をかける。そして、世界の心眼(ユニバース・アイズ)を発動した。途端、隼人は扉を勢いよく開いた。

「くそっ」

慌てた様子で駆け寄ったのは、壁に寄りかかるように気絶させられていたほのかの下だった。他に、この部屋に人の気配はなかった。

「…ほのか!起きてくれ!」


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