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渦巻く滄海 紅き空 【上】
十七 駆け引き
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が…。ミズキの野郎、ナルトなら解るなんてホラ吹きやがって…」
ナルトの読み通り濡らす事で文字が浮き出たには浮き出たが、どうにも妙な文章がつらつらと並んでいるのだ。どう見ても死後のために書き残したと思われる文面である。
再びナルトに紙を投げ返した再不斬が腕を組む。既に興味を失ったらしい彼をよそに、紙の一面にざっと目を通したナルトが不敵な笑みを浮かべた。

「ふぅん…?なるほどね…」
「解んのか?」

どこか含みのある言葉を発したナルトに再不斬が訊く。だがナルトは涼しい顔で「何れ解るよ」と一言口にした。
「チッ、お前はいつもそれだ」
不貞腐れつつも馴れた様子で、再不斬はどっかりと胡坐をかく。彼とは対照的に整然と正座していた白が「ところであのミズキって人、放っておいても大丈夫なんですか?」と眉根を寄せてナルトに尋ねた。
「僕はあの人、いまいち信用出来ないのですが…」
「ま、どっちみちミズキの野郎の面(つら)なんざ二度と見たくねえけどな」
ミズキに対する白・再不斬の散々な言い草に苦笑しつつ、ナルトは意味深な言葉を呟く。
「そうだね。彼の顔はもう二度と見れないだろうな」
「どういう意味ですか?」
すぐさま白が問うが、またしても「それも後(のち)に解るよ」とだけナルトは返した。
「けっ!またかよ」
そう吐き捨てた再不斬がとうとう畳の上に寝そべる。その様子を気にも留めず、ナルトは白に紙を手渡した。

「白。この紙、渇いたら白紙に戻る仕掛けだから、氷遁で凍らせてくれる?その後、巻物の中に丁重に保管しといて」
「わかりました」
風と水、二つの性質変化を持つ白が、快く了承する。血継限界の能力を宿す故、氷遁を扱える彼は欣然として紙に術を施した。君麻呂同様彼もまた、ナルトの期待に応える事が至上の喜びなのだ。本人達は心底否定するだろうが、似た者同士である。

凍った紙を巻物に収納している白を目の端で捉えながら、再不斬はナルトに本題を切り出した。

「―――で?窓の外で隠れてるガキ共は一体なんなんだ?」




畳の上で寝ながらも、再不斬は外部の者目掛けて器用に殺気を放つ。殺気に中てられ、外にいる者がビクリと身を強張らせる気配がした。
「そう苛めないでやってくれ。俺が連れて来たんだ」
「ナルト君が…?」
先程からずっと外を気に掛けていた白が眉を顰める。懐疑的な態度を崩さない二人に気を使いながらも、ナルトは窓を開けた。
「待たせてすまない。入ってくれ」
ナルトに促され、おずおずと彼らは部屋に足を踏み入れる。

身構える再不斬と白の視線の先には、音忍として中忍試験を受けていたドス・キヌタとキン・ツチの姿があった。












長く続く回廊。

赤い円柱が立ち並び、二重彫りにな
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