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ロンリー=ソルジャー
ロンリー=ソルジャー
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                         ロンリー=ソルジャー
「何か星が綺麗だな、ここは」
 夜空を見上げながら僕は思った。日本を離れていても星空はあるんだと当たり前のことに今気付いた。
 夜空には雲一つない。見渡す限りの星空であった。
 僕はそれを見上げていた。夜の警備は気楽だが砂漠の夜は思ったより寒かった。
 ここはイラク。僕はここで起こった戦争の戦後処理の一環として送られた自衛官のPKO隊員の一員としてここに来ていた。陸上自衛隊の隊員の一人だ。
 アメリカとイラクの戦争があったことは兵隊に過ぎない僕でも知っている。はっきり言わせてもらえばそれは僕にとってはどうでもいいことだった。どの国が何処で何をしてもそれが犯罪行為でなければいいと思っている。
 だからここに来ることも正直どうでもよかった。来たのはいい条件があったからだ。
 PKOに行くとその勲章が貰える。それに特別に給料も増額される。今はちょっとした理由でお金が欲しかった。僕はそれでここに来た。かなり厳しい事前の研修があったがそれもパスした。そしてこのイラクにやって来たのだ。
 イラクでやることはよく言われているように危険なことではない。戦闘地域でもないしイラクの人達も僕達日本人や自衛隊には比較的優しかった。この前殺された人は可哀想だったがここはそれでもついこの前戦争がありテロリストが跳梁跋扈している場所だ。やはり用心に越したことはない。僕達はそれを誰よりもわかっているつもりだ。だから基地からあまり出ることはない。幾ら安全だからといっても用心に用心を重ねている。
 仕事はそれでもある。砂漠の中でイラクの人達を助ける仕事だ。この人達に罪はない。強いて言うなら戦争自体が罪なんだと思う。この仕事をやっているととても言えないことだけれど。
 今日もイラクの人達の相手をしている。我等が隊長は子供達と楽しげな顔で記念撮影を撮っている。けれどその裏で隊長も僕達も凄く苦労していた。
「いいか」
 僕も同僚達もことあるごとに先任陸曹から言われていることがあった。自衛隊では何よりも恐い先任陸曹にだ。僕達は隊長は特に恐いと思ったことはなかったがこの先任陸曹は何よりも恐かった。思えば入隊した時からこの人達には怒鳴られて怒られてばかりだった。それは今でも変わらない。流石に殆ど殴られたことはないが。
 その中の一人が僕達に対して言っていた。背は僕よりずっと低いが貫禄は半端じゃない。まるで鬼の様な顔をしている。何でも高校を出てすぐに自衛隊に入ってもうすぐ三十年らしい。陸曹長の階級が何よりも恐ろしく見えた。
「イラクの人達に対して悪いことだけはするな」
 いつもこう言われている。俗に言う掠奪や暴行等だ。自衛隊ではとりわけ厳しく言われていることだけれどここでは
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