第138話
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御坂美琴はコンサート前の広場にいた。
待ち合わせ場所である。
「・・・・・・来ない。」
あちこちで友人なり恋人ないが合流しては広場から離れていく景色の中、一人だけポツンと待ち続けているのは結構しんどい。
美琴の服装は常盤台中学の制服のままだった。
薄っぺらい学生鞄とバイオリンのケースを抱えている。
遊びに行くのに邪魔だが、寮まで持って帰るのはそれはそれで面倒なのだ。
普段なら自由に出入りできるのだが、運悪く寮監とかに捕まるとしつこく外出目的を尋ねられる場合がある。
なので、待ち合わせの時間に遅れないように、敢えて寮に帰るのをやめて先に待ち合わせ場所へやってきたのだ。
今ある荷物は近くにいるらしい白井黒子に取りに来てもらおうかなと考えて電話で連絡を入れておいたのだが。
「どっちも来ないってどういう事よ・・・・?」
美琴は呆然と呟く。
本来は白井にさっさと荷物を押し付けたら時間までカフェで暇を潰していようと考えていたのだが、そもそも大前提の白井すらやって来ないので、結果としてずっと立ちっ放しだ。
遅刻しないようにあれこれ努力したのに、あちら側が時間などを指定したのに、麻生の方が遅れて来るのでは何のための配慮だったのだろう、とため息を吐く。
かと言って、今から荷物を寮へ戻そうとしても、すでに待ち合わせの時間は過ぎているのだ。
ここを出た途端にすれ違いになるかもしれない。
はぁ、と美琴は疲れたように肩を落とす。
「よくよく考えたらあの馬鹿の番号知らないのよね。
でも、こっちから尋ねるのは癪だわ。」
立っているのも疲れたので、その場にしゃがみこんで薄っぺらい学生鞄とバイオリンのケースを地面に置いた。
鞄はもちろんケースの方はそれだけで骨董的価値がありそうだが、美琴はあまり気に留めていない。
ケースはあくまでケースとして機能させるだけである。
と、そんな疲労感漂うお嬢様に。
「いたいたいました!
御坂さ〜〜ん!!」
「うん?」
明るい少女の声が飛んできた。
自分の名前を呼ばれた美琴はその声のする方に顔を向ける。
そこには美琴よりも小さな中学生が立っていた。
黒くて短い髪の上に造花をいっぱい取り付けた、セーラー服の少女。
白井黒子と同じ風紀委員に所属の初春飾利である。
その隣には初春より少し背が高く、セミロングの黒髪に白梅の花を模した髪飾りをつけてた、初春と同じセーラー服を着た佐天涙子も立っていた。
「あら、佐天さんに初春さんじゃない。」
「こんにちは、御坂さん。」
「どうしたの?
二人で買い物?」
「いえ、白井さんが御坂さんの荷物を受け取りに来るという話だったと思うですけど。」
ん?、と美琴は眉をひそめる。
初春は地
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