暁 〜小説投稿サイト〜
少年と女神の物語
第二十五話
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 さて、件の山についたはいいが・・・

「本当に、遠吠えしか聞こえてこないな・・・」
「だね〜。何か刺激でもあれば、完璧に顕現してきそうなものなんだけど・・・」
「刺激、か・・・」

 この場合、狼に関わる力でもあればいけるんだろうけど・・・残念なことに、俺の権能にはそれに適しているものがない。
 あ、でもヴォバンなら・・・

「よし、とりあえずこのまま待とう。うまいこと護堂とヴォバンがぶつかってくれれば」
「あ、そっか。貪る郡狼(リージョン・オブ・ハングリーウルヴス)だっけ?」
「ああ。あれが発動してくれれば、たぶん・・・」

 まあ、結構離れてるから怪しい気はしないでもないんだけど・・・きっと、なんとか・・・

「あれ?ソウ兄携帯なってるよ」
「あ、ホントだ」

 言われて気づいたが、どうやらメールではなく電話らしい。こんな時間に電話とは・・・
 電話の主の名前を見て、すぐに緊急の事態だと分かった。
 アイツは、よっぽどのことでもない限りこんな常識はずれなことはしない。

「もしもし?どうした、護堂?」
『こんな時間に悪いな、武双。ちょっと面倒ごとになってな・・・手伝ってくれないか?』
「悪いけど、こっちも面倒ごとの真っ最中でな。ヴォバンや祐理のことは、オマエで何とかしろ」
『何で知ってるんだよ、こっちの面倒ごとの内容・・・』

 ヴォバンから直接聞いたとはいえない。
 言ったら、余計に面倒なことになる。

「まあ、そんなことを気にしてる余裕はあるのか?用事がないなら、作戦会議でもしたほうが得策だと思うんだが」
『じゃあ、もう一つだけ。あの爺さんが殺した神様がなんなのか教えてくれ。知ってるだろ?戦士の化身の発動条件は』
「何で俺が知ってると思ったんだ?」
『ほら、オマエって全知の権能を持ってるんだろ?』

 ああ、そこを勘違いしてるのか。

「知に富む偉大なる者を頼りに言ってるんなら、残念だったな、としかいえない。アレは、人間が知ってることなら何でも知れる、って権能だから、ヴォバンみたいに誰も神の正体を知らないと、俺にも知ることは出来ない。何とか分かるのは・・・オシリスくらいだ」
『そうか・・・って、もう追ってきやがった』
「ヴォバンが?」
『いや、あの爺さんの権能で呼び出した狼だ。じゃあ、もうきるな』

 護堂はそう言うと、すぐに電話を切った。
 ってか、ヴォバン今、貪る郡狼使ってるのか・・・道理で、だんだんと遠吠えがはっきりと聞こえてくるわけだ・・・

「立夏、これ、俺の勘違い、とかじゃないよな?」
「多分、そうじゃないと思うよ。・・・あっちのほうから、足音みたいなのも聞こえてくるし」

 立夏のさすほうからは、草むらの中を何かが駆けてくるような、ザッザ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ