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渦巻く滄海 紅き空 【上】
一 嵐の前の静けさ
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ねる彼女に合わせて、ツインテールで結ばれた見事な金髪がゆらゆら揺れる。
その隣には七班員でありナルの友人でもある、桃色の髪の少女・春野サクラ。
同じく同班の、憮然とした態度を常に崩さない黒髪の少年・うちはサスケ。

カカシは目を細めながら、己の教え子たちのもとへ歩みを進めた。
中忍試験の志願書を手渡すために。











五大国の一国、火の国。
各国にある忍の隠れ里の中でも木ノ葉隠れの里は中心に位置している。
崖に彫られた歴代火影の彫刻が、落陽に赤く染まる街並みを見下ろしていた。
鴉の声が滲み渡るほどの静寂が木ノ葉の里を包み込む。
しかしながらその静寂は、街角の一角で起こった小さなイザコザによって破られた。

イザコザとは、曲がり角から飛び出した小さな男の子が通行人の少女にぶつかったという、ほんの小さなこと。
しかし、男の子も少女も実に大人気なく礼儀知らずだったのが、些細なことを喧嘩に発展させていた。

「痛えだろーが、クソが」
鮮やかな赤い髪の少女がぶつかってきた男の子――木の葉丸を軽々と持ち上げ、鋭い瞳で睨みつける。
彼女の口からは、見た目に反して暴言が吐き出された。
「は、放すんだな、コレ!」
木の葉丸は少女の隣にいた白い髪の少年に助けを求めたが、彼は素知らぬ顔で佇んでいる。どうにか彼女から逃れようともがく彼を見て、桃色の髪の少女―春野サクラが慌ててその場を治めようとした。
「ちょっと!あなた達何やってるの!?」
「うっせーな、なんだこのクソ女」
舌打ちまじりで赤い髪の少女は木の葉丸を投げ捨てる。すると、それまで我関せずと沈黙を貫いていた白髪の少年が彼女に呼びかけた。
「そこまでにしておくんだな、多由也」
「テメエもうっせーぞ、君麻呂!」
薄手の白い着物を着こなした白髪の少年―君麻呂は、多由也と呼んだ少女の暴言に眉をひそめ、溜息をついた。
「――なんだよ」
「いや。君のような品のない奴と組むなんて、ナルト様のご命令でなければ願い下げだと思ってね」
「喧嘩売ってんのか、コラァ!ウチだってナルトの頼みじゃなかったらテメェなんかとチームにならねえよ!!」
「……君程度の実力で軽々しくナルト様を呼び捨てにするな」
「テメェこそ、自分だけがナルトを理解していると思ってたら大間違いだぞ、クソホモヤローが!!」
なんだか怪しくなる雲行きに、木の葉丸とサクラは呆気にとられている。その時、場違いとしか言いようのない明るい声がその場に響いた。
「木の葉丸、大丈夫だってば?」
「ナ、ナル姉ちゃん…」


たんぽぽの綿毛のような金髪をツインテールに結った少女がその場にいた。
内輪揉めをしていた多由也と君麻呂は、その声の主を目に映すと驚愕の表情を浮かべる。
その少女の容姿
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