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ドリトル先生と日本のお料理
第三幕 王子の洋館その六

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 そのスパゲティを前にしてです、先生は王子に尋ねました。
「これがだね」
「そう、食堂でも見たね」
「ナポリタンだね」
「実際に食べてみて、美味しいから」
「うん、じゃあね」
 フォークを右手に取ってです、博士はそのスパゲティを食べてみました。すると一口食べて目を丸くさせて言いました。
「いや、これも」
「いいよね」
「うん、オリーブオイルも使ってるし」
「大蒜も入れているよ。この二つをパスタに使うと」
 どうなるかといいますと。
「パスタの味がぐんとよくなるから」
「イタリアだね」
「それはね、けれどね」
「このナポリタンは」
「日本だよ」
 それに他ならないというのです。
「紛れもなくね」
「そうだね、イタリアにはない味だよ」
「ちゃんとトマトを使ったスパゲティもあるよ。イカ墨のもあるから」
「あのイタリアのものも」
「そう、けれどこのナポリタンはね」
 どうかといいますと。
「紛れもなく洋食だよ」
「日本だね」
「日本の味がするよね」
「不思議だね、欧州から来た料理なのに」
 それでもだとです、先生はそのスパゲティをとても美味しく食べながら王子とお話をするのでした。
「日本だね」
「洋食といってもね」
「それでもだね」
「いや、不思議だよ」
「不思議って?」
「日本のお料理がね」
 それ自体がだというのです。
「不思議だよ」
「和食があってだよね」
「洋食があってね」
「あとラーメンとかハンバーガーもね」
 そうした食べものもだというのです。
「サンドイッチもだけれど」
「日本のものになっているんだね」
「どれも本来の国のものとは違っているよ」
 やっぱり日本のものになっているというのです。
「そうなっているよ」
「成程ね」
「そう、このナポリタンと同じでね」
「日本は面白いね」
「お料理だけを見てもね」
「洋館もそうだけれど」
「一見欧州でもね」
「日本が入っているよ」
 そして日本のものになっている、だから面白いというのです。
「これもね」
「そうだね、どれもね」
「そういえばケーキも」
 いつも紅茶と一緒に食べるそれもです。
「イギリスじゃなくてね」
「日本のケーキだよね」
「日本人は他の国のものを自分の中に取り入れるんだね」
「そして自分のものに出来るんだ」
「話は聞いていたけれど凄いね」
 先生も素直に賞賛することでした。
「いや、本当に」
「そうだね、、それでね」
「ナポリタンの次はだね」
「ハンバーグだよ」
 それが出て来るというのです。
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