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『八神はやて』は舞い降りた
第1章 悪魔のような聖女のような悪魔
第5話 名前を呼んで
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う。主が気になさることはありません。わんこモード、よい響きだと思います」

(それでいいのか盾の守護獣。いや、ボクが呼んだんだけどさ)


 まあ、だいたいこんな感じである。たぶん。きっと。
 つまるところ、ボクは、転生モノの例にもれず、ハイスクールD×Dという作品の世界に転生したのだろう。
 ただ、そのわりには、前世のプロフィールは思い出せない。
死ぬ間際の記憶も、神様とあった記憶も、どんな転生特典を頼んだのかも、全く覚えていないのである。
 転生先や、転生特典を選べるパターンが主流にも関わらず、だ。  
 まあ、テンプレはあくまでテンプレであるから、そこまで気にする必要はないだろう。 
 

「それじゃ、これで皆そろったね」

  
 推測になるが、夜天の書は、転生特典で得たのではないだろうか。
 それならば、説明がつく。バグが修復されているのも。無尽蔵の魔力も。
 ボクが、「八神はやて」なのも。

 なにはともあれ。昨日、クラスメイトの兵藤一誠――――彼こそが、原作主人公様である――――が、他校の美人さんに、告白されたという話を聞いた。
 原作に描写されていた一幕である。
 つまりは、前世でアニメや小説だった物語が始まる。


「では、いただきます」

「「「「「いただきます!」」」」」


 2度目の人生。
 ――2回目の現世における家族。

 2度目の高校生活。
 ――2年目の高校における新生活。

 
 ボクは、すべてひっくるめて、いまの生活が気に入っている。
 けれども、ボクの学校――駒王学園が、原作と呼ばれる物語の舞台であり、台風の目になることを「知っている」。
 だからこそ、出来る限りの準備をしてきたのだ。
 あの日、決意し、決断した日からずっと、待ち望んできたのかもしれない。
 さあ、今日もいい天気だ。学校へ行くとしよう。
 わんこモードのザッフィーをひと撫でしてから、玄関から飛び出す。


「いってきます」


 ――――大切な家族と暮らしていくために。




 
「とうとう『原作』とやらが始まるのですね」


 わたしは、長らく破壊の権化として、次元世界に災厄をもたらしてきた。
 もはや、思い返すことが億劫なほどの昔から、最悪のロストロギア「闇の書」として、恐れられてきた。
 管理局と相対し、アルカンシェルに撃たれた時も、諦めの境地にいた。


 ――また同じことを繰り返すのか、と。


 しかし、何の因果か、わたしは『夜天の書』として、いまここにいる。
 起動したときは、マスターは殺される寸前で混乱したものだ。 
 けれども、何よりも忘れ難い記憶は……


 『なるほど。管制人格とは、魔道書
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