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『八神はやて』は舞い降りた
第1章 悪魔のような聖女のような悪魔
第5話 名前を呼んで
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「主はやて、おはようございます」

「おはよう、シグナム」


 此の世に生まれてから、およそ17年。
 この世界で生き抜くと決めてから、およそ8年。
 思い返せば、色々なことがあったように思う。


「はやて、おはよう。お?いいにおいがする」

「おはよう、ヴィータ姉。今日は、シグナムの要望に答えて和食にしてみた」

「私のためとは。かたじけない」

「はやての飯は、ギガウマだからな。毎日楽しみだぜ」


 さて、あっという間に駒王学園2年生、17才になってしまった。
 前世の記憶があったり、魔法を使えたり。魔道書(しかも、ロストロギア)の持ち主だったり、悪魔と知り合いだったりするだけで、どこにでもいる普通の女の子である。


「シャマルもおはよう」

「おはようございます、はやてちゃん。いつもありがとうございます。お礼を込めて、明日は、わたしに朝食をつくらせてください」

「やめてッ!!」

「主はやての身を害するつもりか?」

「オイ、ゼッテーヤメロ」

「――うぅ……みんな酷い」


 そう、普通の女の子のつもりなのだが……。
 美少女キャラに転生。
 魔力ほぼ無限。
 パーフェクト夜天の書を所持。
 これらが意味するところは――


 チートTS転生オリ主ktkr!テンプレ二次創作乙!


「風の癒し手よ。己の胸に手を当てて思い返すと良い」

「あ、リインフォースもおはよう――ザフィーラはどこだろう」


 意味不明な戯言をのたまっているようにみえるかもしれない。
 だがしかし、現状を鑑みれば、否定することもできない。
 ちなみに、テンプレ二次創作とは、以下の流れを指す。


1. トラックに轢殺される
2. 神様に会う
3. 転生特典とよばれるチート能力をもらう
4. アニメや漫画の世界に転生
5. チート能力使って無双乱舞


「主よ。私はここにずっといました」

「――ああ!ごめんごめん。わんこモードが馴染みすぎて気づかなかったよ」

「わ、わんこモード…!?」


以上、5段階の通過儀礼を経たツワモノが、「オリ主」と呼ばれる転生者である。
 二次創作界では、俗に「神様転生」「異世界転生もの」と呼ばれるジャンルとして大勢力を築いている――っていう認識をボクはしている。
 TSだと思うのは、趣味嗜好が男性寄りだからだ。


「あははは!ザフィーラにぴったしじゃねえか。なあ、シグナム」

「私の口からは、何も」

「わたしは、そんなザフィーラを応援していますよ」

「フォローになっていないぞ、風の癒し手よ。しかし、くくっわんこモードとは」

「ごめんよザフィーラ」

「む、む
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