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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第四十二話 密談
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で代替わりすれば一度融資は返済されるはずです。それを機に少しずつ整理する……」
俺が提案するとゲルラッハ子爵が首を横に振った。

「それを行えば政府が融資の引き締めを行い始めたと皆が理解します。それだけで混乱が生じかねません」
なるほど、貴族が経営している金融機関は預金の流出が起きるか……、深刻な資金不足が発生するな……。
「しかしこのまま放置すれば一年後には問題になりますよ、そうではありませんか?」
「公の仰る通りです、間違いなく問題になるでしょう。それで頭を痛めております」

もう一度ファイルを見た。貴族達が借りている金額はかなりのものだ。ゲルラッハ子爵が俺を上目使いで見た。
「少しずつ返済させるしかないと思いますが……」
「現時点で既に借金まみれの貴族も居ます。全てを返済までにどれだけの時間がかかるか……」

ゲルラッハ子爵が顔を顰めた。融資を受けている貴族の中には例のフェザーンからの借金を帝国政府に肩代わりしてもらっている貴族も居る、それもかなりの人数だ。フェザーンに金を預けて資産運用を行い利益を得る。それでも足りずにフェザーンから金を借りて遊びまくる。貴族ってのはホント何考えてるんだ? 俺にはさっぱり分からん。

結局結論は出なかった。ゲルラッハ子爵は俺に相談してほっとしたような表情をしていたが俺にとってはまた一つ重荷を背負わされたようなものだ、地上車で帰る時も対応策を考えたがどうにも良い案が出ない。これじゃ宇宙統一なんて何時の事になるのか……。内政改革だけで一生を終えそうな気がしてきた。

「エーリッヒ」
「うん?」
「大丈夫か? 顔色が良くないが……」
フェルナーが俺の顔を覗き込むように見ていた。

「難問続出だ、頭が痛いよ」
「俺に話してみたらどうだ。ゲルラッハ子爵が絡んでいるとなると財政の事だろう。経済や財政の事は分からんが話すことで何か良い考えが浮かぶかもしれない」
心配そうな表情だ、どうやら俺は表情が直ぐ顔に出る悪い主人らしい。

「そうだな、屋敷に戻ったら聞いてもらおうか」
俺が答えるとフェルナーが頷いた。俺をブラウンシュバイク公にしたのはこいつを含めた公爵家の人間だ、もしかするとフェルナーは俺に対して罪悪感でも感じているのかもしれない。

「……アントン、私はブラウンシュバイク公としてはどんなものかな」
「……良くやっていると思うよ。俺だけじゃない、アンスバッハ准将、シュトライト少将もそう言っている。帝国の文武の重臣として良くやっているさ」
「……」
「ただ、不運だと思うよ」

「不運?」
冗談かと思って俺が問い返すとフェルナーが真顔で頷いた。
「あと百年早く生まれてブラウンシュバイク公になっていればこんな苦労はしなくて済んだのにな」
「百年前なら誰も改革など必
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