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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第四十二話 密談
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かし俺の言葉を否定はしなかった。否定出来るのなら俺をここに呼んだりはしない。

ファイルは貴族専用の金融機関、特殊銀行、信用金庫から融資を受けている貴族の一覧だった。そして使い道も記載してある。原作ではラインハルトが改革を始めると真っ先に潰された制度だ。この融資は無利子、無担保、無期限というふざけた融資内容になっている。

元々は惑星開発には金がかかるからという事で作られた金融機関なのだが現状では資料を見る限り領地経営に使われてはいない。フェザーンの投資機関に預けたり、場合によっては自分で金融機関を営む事に利用している。それで得た利益が遊興費や私兵の維持に使われるわけだ。そして融資額は年々増加している。

「帝国が財政難になるわけですよ、領地経営もせずに帝国から金を借りて遊びまくっている貴族がいるのですから」
「その通りです。財政再建にはこれを何とかしなければどうにもならないと思います」
前財務尚書カストロプ公は何もしなかったのだろう。自分が不正をしていたから何も言えなかったに違いない。いや、それ以前に自分の蓄財以外には関心が無かったか。皆で仲良く甘い汁を吸っていたわけだ。

「リヒテンラーデ侯は何と?」
「ブラウンシュバイク公に相談せよと、国務尚書閣下も以前からこの問題では頭を痛めていたようです」
頭を痛めているって、それで俺にぶん投げるかよ。あのジジイ、究極奥義丸投げを使うのは止めて貰いたいものだ。俺の方が頭が痛くなってきた、どうしたものか……。
「これを強制的に回収すればどうなると財務尚書は見ていますか?」
俺が問い掛けるとゲルラッハ子爵は力無く首を横に振った。

「帝国は大きな混乱に見舞われると思われます。金融機関を営んでいる貴族は資金不足に陥る可能性が有ります。そうなれば信用不安が発生します。最悪の場合帝国政府が公的資金の投入に踏み込まなければならなくなるでしょう。回収は混乱を起こしただけで意味のないものになる可能性が有る。それが財務省の見解です、何とかしようと思ってもどうにも出来ない、ズルズルと今日まで来てしまいました……」

「フェザーンも同様でしょうね。貴族が資金を回収すれば投資機関は資金不足に陥る可能性が高い。彼らは不足した資金を何処からか補わなければなりません。最初に行うのが帝国からの資金の回収……」
「はい、財務省も公と同じ見解です」

今度は本当に溜息が出た。同じ見解と言われても少しも嬉しくない、頭痛が酷くなるだけだ。どうにもならん、楽に稼げる道が有る以上、貴族達は面倒な領地経営には消極的になる。使い道が違う以上融資を引き揚げるべきなのだがそれをやれば帝国は混乱する……。もう一口水を飲んだ。

「とりあえず新規融資は止められませんか? 用途を確認し領地経営以外には使わせない……。当主が死ん
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