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【IS】昼行灯(ひるあんどん)が照らす道
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その男は実に気の抜けた男だった。

『はぁ・・・私の番ですか?あー、カークス・ザン・ヴァルハレヴィアと言います。これでいいんでしょうか?・・・駄目ですか』

織斑一夏と言い、世の男と言うのはまともに挨拶も交わせないような愚図ばかりなのかと溜息しか出てこなかった。

『代表候補生?はぁ、凄いなぁ・・・・・・あ、もう次の授業が始まる頃だね』

だから、少しは自分の立場というものを理解してもらおうと思ったのだ。

『織斑君一人にだけ行かせるのも後味が悪いしなぁ。私も立候補しましょう』

それが・・・こんな結果を招くことになると、誰が予想できようか。
少なくとも私、セシリア・オルコットは予想だにしていなかった。




「ぬぅああああああああああああ!!!」

教室でのぼうっとした顔は演技だったのか、と訊きたくなるほどの雄叫びが大気を揺らす。瞬間、10メートル以上はあろうかという超高熱の巨大な刀身が、スターライトmk3を真っ二つに切り裂いた。

少し遅れてライフル内のエネルギーが爆発し、咄嗟にライフルを手放していたセシリアは辛うじて退避が間に合った。胸中を渦巻く感情は驚愕と恐怖。予想だにしない強烈な一撃は完全にセシリアの出鼻を挫いていた。

「・・・避けたか。伊達に候補生をやっている訳ではないな」
「あ、貴方は・・・っ!?」

試合開始と全く同時に凄まじいまでの速度で踏み込んできた碧いISが振りかざしたプラズマ兵器は、彼の気合の雄叫びに見合った威力でアリーナの地面までも抉ってみせた。大地を直撃した後には、底が見えないほど深い斬痕を残していていたのだ。

観客も唖然としている。その光景をモニタリングしていた一夏も然り、あの千冬でさえその豹変に動揺を隠せなかった。
―――あれがあのカークス?その一言だけが頭に浮かぶ。


だが、本当に驚くのは此処からだった。

「臆したか?君の実力はその程度か?」
「・・・!」
「たかが一撃で折れるような闘志で戦いを挑むとは笑止千万!!」
「・・・言わせておけばっ!笑っていられるのは今の内だけですわよ!」

動揺から言葉の出ていなかったセシリアだったが、カークスの言葉にプライドを刺激されてかすぐさま戦闘態勢に入る。弱みを見せるな、気迫を見せろ。この男は危険だ、と本能が呟いた。故に、使う気は無かったが使わせてもらおう。

「お行きなさい、ブルー・ティアーズ!!」

非固定浮遊部位から分離した独立機動兵装「ブルー・ティアーズ」が操者(セシリア)の指揮に従い臨戦態勢へと入っていく。対するカークスの操るIS「エウリード」もその手に持ったハイパープラズマソードを腰だめに構え直した。

「BTを抜かせましたわね?これを使った以上
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