暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
第一層攻略会議
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
──ゲーム開始から一ヶ月で二千人が死んだ。

【始まりの街】の中心にある巨大な宮殿、黒鉄宮の、元は《蘇生者の間》であったところには、金属製の巨大な碑が配置され、その表面には一万人のプレイヤー全ての名前が刻印されていた。

なんとも有難い配慮で、死亡した者の名の上には解りやすく横線が刻まれ、横に詳細な死亡時刻と死亡原因が記されるというシステムだ。

最初に打ち消し線を戴く栄誉を手にする者が現れたのは、呆れたことに、ゲーム開始からわずか三時間後のことだった。

死因はモンスターとの戦闘ではなかった。自殺である。

人づてに聞いた話だと、ナーヴギアの構造上、ゲームシステムから切り離された者は自動的に意識を回復するはずだ、という持論を展開したその男は、【始まりの街】南端、つまりアインクラッドそのものの最外周を構成する展望テラスの高い柵を乗り越えて身を踊らせたらしい。

浮遊城アインクラッドの下には、どんなに目を凝らしても陸地等を見つけることはできず、ただどこまでも続く空と幾重にも連なる白い雲が存在するだけだ。

たくさんのギャラリーがテラスから身を乗り出して見守る中、絶叫の尾を引きながら男の姿はみるみる小さくなり、やがて雲間に消えていった。

男の名前の上に簡潔かつ無慈悲な横線が刻み込まれたのは、それから二分後のことだったらしい。死亡原因は《高所落下》。二分の間に彼が何を体験したのかは想像もしたくない。実際に男が現実世界に復帰できたのか、それとも茅場の言葉どおり脳を焼かれるという結果を招いたのかはゲーム内部からは知る術がないのだ。

ただ、そのように手軽な手段でここから脱出できるのなら、すぐに全員が外部から回線切断、救出されていてもよいはずだ、というのがほとんどのプレイヤーの共通する見解だった。

それでも、その男がゲーム世界から消えたあとも、この単純な決着の誘惑に身を任せる者は散発的に出現した。レンを含めたほとんど全てのプレイヤーは、SAO内での「死」に実感を持つことがどうしてもできなかった。

HPがゼロになり、体を構成するポリゴンが消滅するその現象は、あまりにも慣れ親しんだ、いわゆる「ゲームオーバー」に酷似しすぎていた。

多分、SAOにおける死の意味を本当に悟るには、実際に体験する以外の方法はないのだ。その希薄感が、プレイヤーの減少に拍車をかける一因となったのは間違いない。

そして、外部からの問題解決は、結局もたらされなかった。それどころか、何らかのメッセージが届くことすらなかったのだ。

レンは直接目にしてないが、この世界から本当に出られないとようやく理解した時のプレイヤー達のパニックは、狂乱の一言に尽きたという。

わめく者、泣き出す者、中にはゲーム世界を破壊すると言って街の石畳を掘り
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ