暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
仲間の為に、他人の為に。
[8/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ナツが強い意味を。そして、いつもより強く見える理由を。

(私とは違う・・・己の為に戦っているんじゃない・・・)

理解した時――――

(他人の為に・・・『仲間と名付けた他人』の為に、戦っているんだ!)

ティアに溢れ出てきたのは・・・驚愕だった。
元々、自分のいるギルドは仲間意識が強いと思っていた。
が、基本他人に興味のないティアは、他人に他人以上の名前を付けようとはしなかった。

(でも・・・コイツは違う・・・)

だが、ナツは違った。
ギルドにいる人間全員を仲間と呼び、好んで孤立していたティアさえも、喧嘩というイマイチな繋がりではあるが、絆で繋いだ。

(他人の為に戦うなんて、愚かとしか言えない・・・でも、コイツはそれが『戦う理由』だと信じて疑ってない・・・)

初めてだった。

(なんて・・・なんて、コイツはバカで・・・)

他人を、何の繋がりもない人間を『仲間』と呼ぶ人間に。

(なんて・・・強いの・・・)

強さを覚えたのは。

(強い・・・コイツは強い!私とは違う意味で・・・強い!)

その瞬間、ティアの体を闘志が走る。
立ち上がり、叫んだ。

大海銃弾(アクエリアスガンス)!」

展開した魔法陣から、森バルカンの首辺りに勢いよく水が発射される。

「ウホ?ウホォォォォオオオっ!?」

突然の反撃に、森バルカンは大きく身体を仰け反らせた。
手が空いていれば防げたかもしれないが、生憎手はナツが受け止めている。

「今よ!」
「おう!」

ただ短い言葉で、意志の疎通くらい出来る。
1日に何回も口喧嘩をする2人は、ギルドで1番と言っていい程に仲が悪く・・・ギルドで1番と言っていい程、息が合っていた。
ナツは森バルカンに向かって跳び、そして―――――

「火竜の・・・鉄拳!」

勢いよく、炎を纏った拳を叩き込んだ。

「ウホアアアアアアッ!」

ナツの拳は森バルカンの顔面に叩き込まれ、相手は気絶する。

「・・・アンタ、私の力はいらないんじゃなかったの?」
「お前こそ、俺の力はアテにしてねぇんじゃなかったのか?」

互いに憎まれ口を叩く2人。
が、しばらくすると――――――

「ぷっ・・・ははははははっ!」
「くくっ・・・」

ナツは大笑いし、ティアは小刻みに肩を震わせた。

「ナツー!ティアー!」

するとそこに、卵を抱えたリサーナが駆け寄ってきた。

「リサーナ!無事だったか?」
「うん!卵も無事だよ!」
「そう。ドラゴンが無事でよかったわね」
「「え?」」

ティアの言葉が意外だったのか、ナツとリサーナが目を丸くする。
その視線を受け止めたティアは、視線を逸らし、もごもごと呟いた。


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ