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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
Introduction
第十三話 亡国機業
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「……あの? どうかなさいましたか?」

 さて、今僕たちの前には亡国機業が使うという偽名そのままで接触してきた人間がいる。ふんわりとしたロングヘアーを持ち、笑顔を浮かべている綺麗な女性だ。
 亡国機業が実在する人物の名前を騙っていた可能性もあるけど、その場合は既に楯無さんが洗い出しているはずだからその線は薄い。つまり、十中八九彼女は亡国機業の人間だ。

『私たち二人に直接、たった一人で接触してきたってことは、よっぽど実力に自信があるのかただのバカか……まぁ、既にバレている偽名で接触してくるあたり後者の可能性も否めないのだけど。残る可能性は』
『仲間が近くに潜伏している、だね。もしそうなら、ハイパーセンサーからも存在を隠している、かなり厄介な相手ってことになるけど』
『そうね、私も感じないわ。一般人の可能性もごく僅かとはいえ残っているし、ここは話を合わせながら様子を見ましょう。ただし、襲撃に備えてISだけはすぐに展開できるようにしておいて』
『了解』

 彼女が声をかけてきた直後に、僕らは気づかれないようにISを準待機モードにして、いつでも戦闘態勢に入れるようにした。目の前の巻紙礼子を名乗る女性は反応の無いこちらの様子を見て訝しげに訪ねてきたが、その間僕らはプライベート・チャネルを使いすぐさま段取りを決める。本来は校則に触れる行為だけどこの場合はやむを得ないだろう。
 状況から伏兵がいる可能性は割と高い。しかもここまで僕と楯無さんから存在を隠すことができるとしたら相当優秀な人間だ。相手の人数もわからないまま下手に動くのは得策ではない。少なくとも奇襲を仕掛けてこなかった以上、周囲に警戒しながら相手の目的などに探りを入れるのがいいだろうという判断だ。

「いえ、なんでもないですよ。それでどういったご用件でしょうか?」
「はい、実はそちらの西園寺紫音さんにお話しがございます。西園寺さんがお持ちの専用機は未だに後付装備が追加できず、近接用のブレードのみとお伺いしました。そこで弊社の技術で開発した装備を提供すると共にその原因を解析、対処させていただけないかとご提案する次第です。もちろん、STCに全権があるのは承知しておりますが、もし西園寺さんがよろしければ口利きしていただければと思いまして」

 目の前の女性は笑顔を絶やさず、もっともらしい理由を述べている。その笑顔と口調には違和感はなく、もし事前に偽名のことを聞かなかったら疑わなかったかもしれない。それに、束さんの件で警備が厳しくなった学園に潜入できている。いや、逆に束さんに注意がいった隙を突かれたか。どちらにしろ、この人も実は優秀なのだろうか。

「そういうことでしたか。ですが申し訳ありません、私としては後付装備は考えていません。それにSTC以外と関わるつもりもありませんので」

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