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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第44話 「青天の霹靂」
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は敬礼で返答してくる。
 通信を終えた私は、再び会議室へと急いで戻った。部屋には全員が戻っていた。
 私が一番、遅かったらしい。
 席につく前に、居並ぶ委員長たちを見回して言う。

「私はイゼルローン攻略には反対だ。しかし出征そのものには反対しない。帝国軍はティアマトで迎え撃つ。そして動員艦隊は六個だ!!」

 一気に言い切った。
 動揺している議員達の中で、トリューニヒトだけが落ち着き払った態度を崩さない。

「議長の意見に賛成します」

 トリューニヒトの意を汲んだ議員達が、口々に賛成してくる。
 トリューニヒトの目の奥にしてやったという色が見えた。
 私は一瞬、この部屋の中に、私とトリューニヒトしかいないような気分に陥った。

「しかし六個艦隊とは……財政が」
「そのような事は、言われるまでもなく分かっている!! だが、やる以上は勝たねばならん。勝つためには財政ぎりぎりの動員をすべきだ」
「さすがは議長閣下。よく分かっていらっしゃる」

 レベロ議員の反対意見を私は断ち切るように言う。
 それに被せるように、トリューニヒトが拍手と共に褒め言葉を発した。
 これで私が、帝国との和平を覆す決断をした事になってしまった。
 トリューニヒトは私の見識に賛成しただけだ。
 なんという男だ。

 ■宰相府 ルードヴィヒ・フォン・ゴールデンバウム■

 士官学校でおもしろい奴を発見した。来年卒業する奴だが、素敵なお方だ。
 そう、ナイトハルト・ミュラー様だ。
 きゃー鉄壁ミュラー様ー。すてきよ〜。
 なんて喜んでいたら、ラインハルトの冷たい視線が突き刺さる。
 人の心を読むんじゃない。
 じっとりした視線が痛いぜ。

「なにをそんなに喜んでいる」
「いや、べ〜つ〜に〜」
「こっちを向け」
「や」
「や、じゃない」

 きゃ〜嫉妬よ〜。
 いやんいやん。ミュラーさまの魅力にめろりんきゅ〜。

「だ〜か〜ら〜妙な小芝居をするなー」

 ラインハルトが怒っている。
 うむ。怒りっぽい奴だ。カルシウムが足りてないんじゃないか?

「だれのせいだーっ!! むがむが……」

 おお!! ジークがラインハルトの口を押さえた。
 そしてそのままどこかへ連れ去っていく。
 お〜い、どこへいくんだ〜?

「ふっ」

 うわ〜ジークの視線も冷たい。
 いいのさー。どうせ、だぁ〜れもわかっちゃくれないのさー。

「華奢で柔でデリケート。その上清楚で可憐で繊細な、この俺様に対して何たる仕打ちだ」
「そんな方は、自分の事を俺様とか言いませんよ」
「繊細かつ大胆不敵」
「性質の悪い男ですねー」

 寵姫たちの毒舌が冴え渡る。
 ふと隣を見れば、アンネローゼが、


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