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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第44話 「青天の霹靂」
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だっ!!」
「この条件では、戦艦を一隻修理しただけでも、軍備の準備をしていると、言い掛かりをつけられてしまう。これなら無視した方が良い」
「それは……」
「条件を白紙に戻す。その為の攻略だ。出征だ」

 トリューニヒトの言葉に評議会の連中が傾きだしている。
 サンフォード議長は、おろおろと周囲の様子を窺う。
 くそっ、議長の気の弱さが、部屋の空気を軟弱なものにしている。そしてそれがトリューニヒトを抑えられずにいるのだ。

「ま、待ちたまえ。一旦休憩を取ろう。議決はその後だ」

 議長が珍しく強引に話を打ち切った。
 そして足早に部屋から立ち去っていく。根回ししておきたかったが、ああも逃げるように立ち去られては、どうしようもない。
 せめてホワンだけでも話をしておきたいと思い、二人で部屋から去った。
 トリューニヒトは一人、悠然と腕を組んで席に座ったままだ。
 くそっ、ずいぶん余裕な態度だ。そしてトリューニヒトの周囲に人が集まりだしている。こいつ、議会に集まる前から、根回していたな……。

 ■ロイヤル・サンフォード■

「ロボス君。軍はイゼルローン攻略に賛成しているのかね?」

 私は会議室から足早に立ち去ると、急いでロボス君に連絡を取った。
 いくぶん恰幅の出てきたロボス君は、落ち着いた口調で口を開く。

「小官としては、イゼルローン攻略に反対です。シトレはどうかは分かりませんが」
「シトレ君か……」

 彼が攻略を主導しているというのか!!
 まさか?
 いやしかし、あのトリューニヒトの自信は、軍の賛成を得ているからだろう。
 だが、今の時期にイゼルローンを攻めるなど……できるというのか?

「しかしシトレも積極的には、賛成していないでしょう」
「うん? どういう事かね?」
「委員長の仰る。白紙に戻すための出征には、賛成しますが、その対象がイゼルローンとなれば、反対するでしょう」

 そうか、奴は出征の賛成を得たのだな。
 それをイゼルローン攻略と偽ったのかっ!!
 よし、そこを突けば、抑えられる。

「ですが、出征そのものは賛成すべきでしょう。今の条件は悪すぎる」
「確かに……条件は悪いな」
「同盟の国民感情的に、そのような条件は飲めないと、意思表示するためにも、ここは攻めるべきです」
「なるほど……その通りだ。だが、どういう作戦を採る?」

 私の問いにロボス君は、一つ頷くと口を開いた。

「イゼルローンを攻めると見せかけておいて、帝国軍をティアマトまで引きずり込みます」
「ティアマトか、勝てるかね」
「勝つためには六個艦隊は必要です」
「六個艦隊か、それはなんとかしよう。任せておきたまえ」
「ハッ、感謝いたします」

 私がそう言うと、ロボス君
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