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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第45話 「権威と権力」
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乗せろという我が侭を聞いて、オーディン上空まで護衛したさいに知り合った。
 その時以来、妙に懐かれてしまったらしく、見かける度に声を掛けてくるようになった。

「宰相閣下のご様子は如何かね」
「も〜あいかわらずですよー。毎日忙しそうで、俺様ぶりも健在です」

 俺様ぶり、か……。
 ここの所、お会いする機会もないが、強気なところは健在というわけだ。
 しばらく話していると、通り掛かったワーレンが、こんなところで立ち話もなんだろう、カフェにでも連れて行ったほうが良い。と言ってきた。
 いかんな、私はこういう所が気が利かないようだ。

「中尉、行こうか」
「はいっ」

 ■宰相府 マルガレータ・フォン・ヴァルテンブルグ■

 うむむ。ここはどう書くべきでしょうか?
 貴公子のような風貌ってよく言うけどさ〜。皇太子って本物の貴公子だしね〜。古の彫像を思わせる均整の取れた肢体とか、高貴さなんて、元々高貴なお方だし、体つきもバランスが取れてるしねー。こー皇太子を表現するような良い語彙はないものだろうか……。う〜む、悩んじゃうな〜。
いやいや、ここは皇太子殿下の持つ野性味を押し出した方が良いのかも……。

“高貴さと野性を兼ね備えた皇太子の瞳が、鋭い光を帯びた。琥珀色の視線の先には○○(お好きな人物の名をお入れ下さい)がいる。軽く手招きした皇太子に向かい、おずおずとした足取りで、近づいていく。
 強引に腕を引かれ、倒れこむように皇太子の胸元に飛び込んだ”

「あんた、何書いてんの? どれどれ」
「あ、ダメだってっ!!」

 宰相府の休み時間を利用して、趣味の小説を書いていたというのに、エリザベートに奪われてしまったぁー。
 じーざーす。

「あんたねぇ〜」

 呆れたような口調で、エリザベートが小説を返してきた。
 眉が顰められている。はぁ〜っと、ため息まで吐かれた。
 なんだいなんだい、そのたいどはぁ〜。ちょーむかつくー。その上、無言のまま、わたしに数枚の紙を突きつけてくる。
 なになに?
“皇太子は夜な夜な、飾り窓を蹴破る勢いで店に入ると、居並ぶ美女を荒々しく抱き寄せ押し倒す。その勢いたるや、まるで重戦車を思わせた”

「あんただって、書いてんじゃん!!」
「あたしはノーマルだもん。あんたみたいにホモじゃないからね!!」
「恋愛物と言えー!! あんたのはエロ小説じゃん。これぇ〜」
「どこがよー。皇太子殿下ならこれぐらいする。ぜ〜〜〜〜ったい、そうに決まってる!!」
「しねえよ」

 その声に振り返ると、皇太子殿下が立っていた。
 うわっ、むっちゃ呆れたような目だ。

「あわわわわ」
「あ、ああああ、こ、これは違うの、違うんですぅぅぅぅ」

 慌てふためいて、小説を背中
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