暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第四十一話 次なる難題
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話



宇宙暦797年  2月 10日  ハイネセン  ワルター・フォン・シェーンコップ



ブラウン達と相談してヤン・ウェンリー准将とはブラッドシェッド号で会う方が良いだろうという事になった。俺が直接彼に連絡を取るのは危険だ、ブラウンが連絡を取り彼をブラッドシェッド号に連れて来るという事にした。幸いにヤン准将は暇な男らしい、段取りを付けた当日に彼を捕まえることが出来た。ブラッドシェッド号に有る会議室で俺、ヤン准将、ブラウン、ウィンクラーの四人で会った。

「まさか貴官がここにいるとは……」
ヤン准将が首を横に振っている。この男とは初対面ではない、あの作戦を最初に俺の所に持ってきたのはこの男だった。
「最初に言っておきます、我々は同盟を裏切ってはいない。小官は帝国の捕虜です。もっともブラウンシュバイク公からは仕官を勧められていますが」
「では何故ここに?」
「ブラウンシュバイク公が様子を見て来ては如何だと言ってくれたのですよ」
「様子を……」
困惑している、正直な男らしい。

「同盟は我々が裏切った事で作戦が失敗したと思っているのではないかと、無実を訴えてきては如何かと。なかなか親切な御仁だ」
「……」
「軍上層部はどう考えているんです?」
表情が渋い、つまり裏切ったと見ているという事か
「……」
「では貴方は?」
ヤン准将は溜息を吐いた。

「貴官が帝国に通じたとする、しかしリューネブルク中将をイゼルローン要塞に配備するには時間が無い、不可能とは言わないがかなり厳しいだろう。リューネブルク中将はイゼルローン方面軍が編成された時点で要塞に配備された、そう見るべきだと私は考えている。理由は貴官達を知っているからだ、だから彼の人事発令は伏せられた。待ち伏せされたのだと思う」
「つまり、我々は裏切っていない」
ヤン准将が俺の言葉に頷いた。

「上層部はそれを理解していないのですか」
「いや、皆分かっている。上層部だけではなく参謀達もね」
ブラウン、ウィンクラーが訝しげな表情をした。
「では何故我々が裏切ったと?」
「信じられないのだと思う」
「我々が?」

ヤン准将が首を横に振った。
「無いとは言えない、しかしより大きいのはブラウンシュバイク公がこちらの作戦を見破ったという事が信じられないのだと思う」
「……」
ヤン准将が俺を見た。

「シェーンコップ大佐、貴官はリューネブルク中将を見た時、何を考えた?」
「……何故この男がここに、そう思いましたな。それと彼はもう中将ではない、大将に昇進しましたよ」
俺の答えに准将は“大将に昇進”と呟いた。“信用されていますな”と俺が言うと准将は大きく息を吐いて頷いた。

「貴官が信じられなかったように我々も信じられなかった。何故この男がここ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ