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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
A's編
第八十三話 聖夜の奇跡   ★
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 穏やかな寝息をたてるはやての周りに守護騎士が集まり見つめる。

「主はやては」
「何も問題はない。
 私からの浸食も止まっているし、リンカーコアも正常作動している。
 不自由な足も時をおけば自然と治癒するはずだ」

 リインフォースの言葉に安堵のため息を零す。

「それで夜天の書はどうなんだ?」

 シグナムの問いかけに首を横に振るリインフォース。

「やはり破損は致命的な部分まで至っている。
 防御プログラムは停止したが、歪められた基礎構造はそのままだ。
 遠からず新たな防御プログラムを生成し、また暴走を始めるだろう」
「修復は出来ないの?」
「無理だ。
 管制プログラムである私の中からも夜天の書本来の姿は消されてしまっている」

 リインフォースの言葉に項垂れるシグナム達。

 無理もない。
 修復しようにも元の姿がわからなければ戻しようがない。

「主はやてが無事ならば良しとするか」
「そうね」
「防御プログラムがない今なら夜天の書の完全破壊は簡単だ」
「破壊してしまえば暴走する事も二度とあるまい」

 シグナム、シャマル、ヴィータ、ザフィーラの言葉は、はやてが無事だというのに暗かった。
 なぜなら

「私達もここまでなんだよな」
「すまないな、ヴィータ」
「なんで謝んだよ。
 こうなる可能性がある事くらい皆知ってたじゃんか」

 シグナム達四人も夜天の書の守護騎士であり、夜天の書の消滅が自身の死を意味するからである。
 だがそれは

「いいや、違う。
 お前達は残る」

 管制騎であるリインフォースが否定した。

「逝くのは、私だけだ」

 静かに迷いも恐れもなく、揺らぐこともなく、言葉を発した。




side 士郎

 意識が浮上し、ゆっくり瞼を開ける。

 見覚えのない……いや、半年前に俺が隔離された部屋か。
 前回と大きな違いがあるとすれば

「なんとまあ、酷いあり様だな」

 部屋中に充満する血臭。

 前回の時と違い、アースラに来てから封印回路を閉じたために、突き破った剣による出血が部屋中に飛び散ってる。

 心臓の弱い人が見たら卒倒しかねないスプラッタな部屋だ。

 呼吸をするだけでも体中が痛むがとりあえず起き上がろうとするが、まともに手足すら動かない。
 傍から見たら動いてるかもわからないレベルだ。

「……やはり未熟な体では無理か」

 半年前にわかっていたとはいえ前の世界よりも代償が大きくなった事にため息が漏れる。

 どれくらい意識を失っていた事やら。

 魔術回路に無理やり魔力を流し、血に染まった端末に手を伸ばし、操作して通信を開く。
 ただし、映像は色々とアレなので音
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