暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
Ep9クロノ・ハラオウン執務官〜Administrative bureau〜
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†††Sideルシリオン†††

茜色に染まっている空を見上げ、発動した“ジュエルシード”の影響で動いている大木を相手に、俺はただ1人で対峙する。なぜこんな状況になっているのかと言うと、俺が“ジュエルシード”の魔力を感じ、この場へと辿り着いた時より少し遡る。

・―・―・回想を始める・―・―・

俺とアルフはフェイトの治療を終え、“時の庭園”よりこの世界・地球の拠点である遠見市のマンションへと帰ってきた。フェイトはあれから気を失ったままだが、制限されていない俺の固有魔術で治癒系術式の“コード・ラファエル”を使用したから、今のフェイトの顔色は“時の庭園”に行くとき以上に良い状態だ。

「それにしてもすごいねぇ、魔術師ってやつは。他の魔術師もそんな簡単に怪我を治せるのかい?」

「いや、あれは俺だけが出来るものだから、他の連中は出来ない」 

アルフは俺がラファエルを見てそう聞いてきた。フェイトやアルフに知られても構わない魔術に関しての情報は、すべて教えても良いと判断しているため教えることにしている。確かに他の奴には出来ない。何せこの世界に魔術師は俺とシャルの2人だけなのだから。
それに、シャルは治癒術式を習得していない。彼女は戦闘特化の騎士だ。防性術式や飛翔術式などの補助は持っているが、治癒術式だけは持っていない。だから真実、治癒術式が扱えるのはこの世でただ1人――俺だけということになる。

「ふ〜ん、まあいいや。んで、これは一体何なんだい?」

アルフが指差すのは、フェイトの寝ているベッドを覆っている蒼く光るドーム状の結界。俺が先ほどフェイトの治療のために張ったばかりのものだ。

「ああ、この結界には対象者の精神的な疲労などを回復させ、睡眠がよくとれるようにする効果がある。30分もしないうちに万全な状態まで回復できるだろう」

「あたしはどれだけアンタに驚けばいいんだろうねぇ?」

アルフが腕を組みながら俺を見て、感心したような呆れたような複雑な顔をしている。

「う〜ん、死ぬまででいいんじゃないか?」

「っ!・・・ということはアンタ、これからもあたし達と一緒にいてくれる、と思っていいのかい?」

冗談のつもりだったんだが、アルフは本気にとってしまったようだ。やはり慣れない冗談などを、結構真面目なアルフに言うのはまずかったか。どう返せばいいか思案しての沈黙。アルフは半眼となって、「何か言いなよ」と急かしてくる。それでも言い淀んでいると、アルフが心配そうに見てきた。

「なぁ、ルシル? おーい?」

おそらくこの“ジュエルシード”の一件が終わったとしても、俺は――たぶんシャルもだが、この世界に残っているままだと推測している。“界律”はわざわざ肉体や戸籍まで用意したのだ。今までの経験上、そういっ
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