暁 〜小説投稿サイト〜
気まぐれな吹雪
第一章 平凡な日常
29、壊れた未来
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を全うできなかった者には、オレが新たな人生を提供する伝統がある。

こちらも例外はない。

これは全て、惣右介様が創ったもの。

覆してはならないが、覆さなくてはならない。

しかしそれが起こればこの世界は破滅……いや、抹消される。

「確かに、私が定めたことを神が覆すような真似をしてはいけない。もちろん、私もだ。だが……
 それが人間ならばどうなる?」

「!! 別の理由をつけ、どちらかが……と言うことですか?」

「君は理解が早くて助かるよ」

やちるが要の力を消すか殺す、または、要がやちるの力を消すか殺す。

つまりはそういうことだ。

「いつ、どちらを消すのか。それは君に任せるよ。尤も、どちらにせよ早くしないと意味がない。
 期限は1年。わかったね」

疑問系じゃない辺り、嫌になるぜ。

「はい、わかりました。1年以内には必ず……」

思わず苦虫を噛み潰したような顔になってしまう。

そんなオレに、彼はただ微笑みかけるだけだった。

要のもとに戻ろうと、部屋を出ようとしたときだった。

ふと、惣右介様に呼び止められる。

「なんでしょうか」

「君が独断と偏見で転生させた彼女は、元気にしてるのかな?」

「やっぱりバレてましたか……。ええ、お陰さまで」

皮肉たっぷりに返して、今度こそオレは部屋を出ていった。



†‡†‡†‡†‡†‡



家に帰ると、要はまだ寝ていた。

いつ目を覚ましてくれるか分からない。

けど、いつかこの話をしなくちゃいけない……。

心のどこかに、いっそこのまま目を覚まさずにいれば、永遠に眠り続けてしまえばいいと思っているオレがいる。

要に会ったときから、オレは胸の中によくわからない(わだかま)りの うなものがある。

それはお前と会うたび、お前の笑顔を見るたびに大きくなっていく。

「要……お前は、オレの何なんだよ」
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