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ドラクエX・ドーラちゃんの外伝
キラーパンサーに転生
5二人のドーラちゃん
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指示を待つあたしの前に、ドーラちゃんがごはんの入ったお皿を差し出してきます。

 ……おいしそう!

 で、でも、ダメ!
 まだいいって言われてないんだから、勝手に食べたらダメだよ、あたし!

「待て!」
「ミャッ……!」

 ほら、やっぱり!
 よかった、食べなくて!
 ただのバカなベビーパンサーだと思われちゃうところだった!

 ……でも、おいしそうだなあ……。

 ……あたしは元は人間だけど、今はベビーパンサーなんだから。
 人間だったときよりも、本能的な欲求っていうの?が、強いっていうか。
 まだ子供なせいもあるかもしれないけど、頑張って我慢はできるけど。
 その我慢が、結構苦しいんだよね……。

「……」
「……」

 ドーラちゃんが、見てる。
 あたし、試されてる。
 我慢できなくて食べちゃっても、きっと怒られはしないけど。
 でもその程度の、バカなベビーパンサーだって思われちゃう。

 ……負けない!
 あたし、負けない!
 ちゃんと賢いベビーパンサーだって、証明するんだから!

「……」
「……ミュウ」

 あ、なんか情けない声、出た。
 でも、これくらいは許してほしい。
 だってあたしまだ子供だし、ケモノなんだから。

 ……うう、おいしそう。
 早く食べたいよう。
 ねえ、ドーラちゃん、まだ?
 まだ、ダメ?

「……」
「……ミュー、……ミュウー……」

 ねえ、お願い、ドーラちゃん。
 ドーラちゃんがいいって言うまで、ちゃんと我慢するけど。
 でもあたし、やっぱり食べたいの。
 我慢できるけど、でも食べたいの。

「……ごめんね、モモ!いいよ、食べて、いいから!」
「ミャア!」

 やった!やっぱりドーラちゃん、大好き!
 ちゃんとお願いしたら、ちゃんと聞いてくれるんだ!

 さっそく食べてみると、やっぱりおいしい!
 やっぱりサンチョさん、お料理上手なんだね!


 すっかりお皿の中身を食べ尽くして満足して毛繕いを始めると、ドーラちゃんがあたしを撫で回しながら褒めてくれます。

「モモ、よくできたね!ホントに賢い、いい子だね!ごめんね、いじわるしたみたいになっちゃって!」

 ううん、いいの!
 いじわるなんかじゃないって、ちゃんとわかってるから!
 ドーラちゃんにわかってもらえて、褒められて撫でてもらえて、あたしはとっても嬉しいから!

 ……でも、さっきの試されてたときもそうだけど。
 なんかドーラちゃんの話し方が、いつもと違うっていうか。
 いつもはもっと子供らしいのに、なんだか大人っぽいっていうか……。

 ……なんでだろう、大人の前でだけいい子ぶる子供は、結構いると思うけど。
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