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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
短編 あるお盆の物語 C
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さて、時間を遡り場所も変わって第二部隊のところである。

「さて、何か聞きたいことはあるかのう?」
「質問も何も、まだ何も決めていないだろう。誰がどう行動するか、どのペースで移動していくのか、作戦を決めろ。」

豊はそう慈吾朗に言うが、

「そんなものはない。本人が一番よいと思ったことをする。それをワシがフォローし、全体のバランスを取る、これでよいじゃろ。」
「慈吾朗の言うとおりです。このメンバーでそのようなことを考えても、何の意味もありません。」
「『犬神使い』、『化け狐』、そんなてきとうでいいはずがないだろう。もう少し真面目に考えろ。」
「豊はもう少し頭をやわらかくしなさい。そのように硬い考えでは、臨機応変に対処できませんよ?」
「前のいうとおりじゃ。これくらいのことを受け入れられないのでは、霊獣殺しは不可能。自らの力も上昇せんぞ。」

一切聞き入れられることはなく、そう返される。
まあ、この妖怪大量発生では何が起こっても可笑しくないので、作戦は立てないほうがいい。一輝が作戦を伝えたのは自分が臨機応変に動けば言いという考えからだし、それでもかなり簡単なものだ。

「はあ・・・こんなことならばあの場でメンバーチェンジを頼むべきだったな。『降神師』のところなら、まともな作戦が立っていただろうに・・・」
「いや、それはないじゃろ。あやつはワシ以上にそのあたりはてきとうじゃ。」
「作戦が立っているとすれば、一輝のところぐらいでしょう。」

そんな話をしているうちに、日付は変わり・・・妖怪の大量発生が始まる。

「はあ・・・始まってしまったのなら仕方がないか。白澤図よ、汝が内に在りし異形を、今我がために開放せよ。ここに記されしは、歴代の粂神が集めし、その功績なり。」

豊はそう言霊を唱え、手に持っていた古びた本を掲げ、

「今ここに再臨せよ。全ての妖怪よ。そして、我が命に従え。」

そこから、大量の墨を放射していく。
それらは少しずつ集まり・・・白黒の妖怪軍を形成し、そのまま妖怪の群れに突っ込んでいく。
そこに一切の自我は感じられず、ただ使命を全うするというだけの、機械のような動きではあるが、それでも勢いよく妖怪を倒していく。

これが粂神に伝わる奥義、『白澤図』だ。
これは、過去に一輝が殺して封印した霊獣、白澤が残したといわれる蒐集本で、自らの手で殺した異形のデータが記載されていく、この世に一冊しかないものだ。
ゆえに粂神には奥義を使えるものが一人しかおらず、常に滅びと背中合わせとなっている。
その力は単純で、記載されている異形から意識を奪い、ただ自分の思いのままに動く人形とする。一輝の奥義、妖使いに似ているようで、全く違うものだ。

「あら、抜け駆けとは酷いですね。先に始めないでください
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