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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
短編 あるお盆の物語 C
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。」
「何を言っている。この状況で何もしないほうが間違っているだろう?」
「まあ、豊の言う通りじゃな・・・ほれ、早くせぬと前の出番もなくなるぞ?」
「く・・・まあいいでしょう。」

そう言いながら、前は腰に下げた九つの刀を取り、右手に五、左手に四をつかむと言霊を唱えていく。

「今ここに、われは力を使う。汝、その核となれ。」

そう言いながら両手から四振りずつの刀を投げ、残った一振りを媒介として力を流し込む。

「我が込めしは狐の力。今、汝らは管狐となる!」

言霊が終わると、投げられた刀は三尾の狐の姿となり、妖怪を喰らい、切り、燃やしていく。
そして、前自身も刀を構えて走り、管狐が喰らった妖気を使った妖術や剣術を持って妖怪を殺していく。

これが、前の継承した奥義の一部だ。
前の一族は美羽と似たようなもので、化け狐の血を引いている。
その狐は、一輝の先祖が殺したのとは別の九尾で、一輝側の悪妖とは違い人々を守り、実りを与える豊穣の神である。お稲荷様、とかその辺だ。
その結果、美羽の狐バージョンのような奥義を使う。狐の大将として小さい狐を使い、その力を自らのものとする。
まあ、美羽の力も前の力もこの程度ではないのだが、それを披露するのはもう少し先だろう。

「さあ、慈吾朗も早くなさい!この後の酒会、一番戦果の少ないものの驕りです!」
「待て『化け狐』!未成年が大体なのに酒会となるはずがないだろう!」
「はっはっは!なに、このメンバーでの集まりでそのような法律が通用するはずもなかろう!」

国としてもこのメンバーの力を失いたくないので、その程度であればもみ消されるだろう。
それに、下手に敵に回したらこの十人によって日本が潰されかねない。規格外の集まりなのだから。

「さて、そういうことならばワシも少しばかり働こうかのう。」
「少しではなく全力を出せ!これは遊びではないんだぞ!」
「まあまあ、ワシのような老輩は、若き者たちのためにも手を出さんほうがよいのじゃ。」

そう言いながら、慈吾朗は和服の懐から和笛を取りだし、それを吹く。
すると、慈吾朗の体から青いもやが出てきて、それが巨大な犬の姿になり、吼えた。

「ウォォオォォオオオオオオオオオオン!」

それだけで一部の妖怪は消え去り、消えなかった妖怪も力が抜けたようにその場に崩れる。
そうして弱った妖怪は巨大な青い犬・・・慈吾朗の使う犬神によって噛み砕かれ、踏み潰されて消えていく。

「よくやったのう、ベル。これからもその調子で頼む。」
「ウオン。」

さて、第二席の説明に入ろう。
慈吾朗は笛を吹くことによって自らの体に住んでいる犬神を呼び出し、使役することができる。
慈吾朗の体に住んでいるのは青い巨体を持つメスの犬神、ベル
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