暁 〜小説投稿サイト〜
黄昏アバンチュール
開き出した傷口
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な時にこの人と会わなければ行けないのだ。

「どうして…」
「どうしてって僕は化学教員だ。明日実験があるのでね、その準備があるんだよ」
「…なんでもないです。先生いないなら失礼します。」

早くここから逃げ出したい。それなのにどうしても身体が動かない。

「まぁ、そんなこと言わないで。折角久しぶりに話したのだから、いいじゃないか」
「でも、でも下校時間が…」
「それくらいなんとでも言っておこう。勉強についての相談を受けていた、とでもいったら問題ない。」

早く、早く逃げ出さなきゃ。

「いやー、いつぶりだろうね。君が化学部をやめてしまって以来だね。元気だった?」

何を言っているんだろう、この人は。

「返事くらいしてくれたっていいじゃないか。去年、化学部はとても雰囲気が悪かっただろう?なんというか、みんなしてよってたかって君に色々な雑務を押し付けていた。嫌だっただろう?」

「そんなこと…ないです。」
唇噛み締める。きっとここで嫌だったと言ったら相手の思うつぼになってしまう。

「あぁ、あの日が懐かしいね…」


やめて、あの日を、あの日のことを思い出させないで…
そんな私の思いとは裏腹に記憶が流れ込んでくる。





あの日まで、化学部で一人、器具の片付けなどを押し付けられてた私と一緒に片付けを手伝ってくれていた吉川先生のことが好きだった。
それが淡い恋心なのだ、と気がついたのはしばらくたってからだった。私の家は父親がいないし、四姉妹で女ばかりの家庭で育った私の目に、男の人というのはとても新鮮にうつった。
それからというもの、片付のし時間が楽しみになった。いくら部活の時間に嫌がらせをされてもその時間を思うと耐えられた。
そして、夏休み前のある日。期末テストの成績が出た日だった。私は他の一年生部員達にこっぴどく殴られた。
今までいろいろやられたが、あそこまであからさまにやられたのは初めてだった。
その時現れたのが吉川先生だった。一年生をこっぴどくしかり、どこかに連れていった。
そしてまた現れた先生と一緒に私は後片付けをしていた。
洗い場でビーカーを洗っていると突然後ろから声をかけられて振り向くと

そこに先生の顔があった。
「吉川先生…?」
「悟でいいよ」
「悟先生…?」
いつもと同じはずの目がその日はなんだが違った。爛々と光っていてどこか怖かった。

すっと顎をつかまると、顔を舐められた。そして首筋へとするすると顔が降りていく。そのまま、制服のリボンを解かれた。
「や、やめてっ」
唇を指でふさがれた。
「君はまたあの生活に戻りたいのかい?」
身体がこわばる。殴られた身体がひとぐ痛かった。それでも、先生の手を押し返す。
「僕に…逆らうのかい?」

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