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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十九話  終焉の地
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親は不明ですが」

四人の顔が引き攣っている。
「もしかするとフェザーンでは貴族達とフェザーン人の間で抗争が起きるかもしれません。結構ですね、大いに結構です。こちらは連中に気付かれる事無く近付く事が出来ますしフェザーンには我々は解放軍だと宣伝出来ます。歓迎されるでしょう、真実を知るまでは」

『君は、正気かね』
声が震えていた。その言葉は二度目だぞ、レベロ。
「正気です、一度フェザーンを根本から叩き潰さなければなりません。何故なら今のフェザーンは地球教が創ったフェザーンだからです」
『……』

「帝国を見れば分かるでしょう、彼らはルドルフの負の遺産を切り捨てようとしている。一千万人以上殺す事で新しい帝国を創ろうとしているんです。それがどれほど苦しくて痛みを伴う事か……。しかしフェザーンは違う」
『……』
「フェザーンは変わろうとしていません、自分達が繁栄している所為で危機感が全く無いんです。危険ですよ、このままでは地球教はフェザーンで生き残りかねない」
四人が沈黙した、唸り声さえ上げない。

『……だから潰すというのかね』
「その通りです、シトレ元帥。彼らが自らの意思で変わろうとしない以上、我々が潰すしかない。一度叩き潰して彼らに自分達の手で新しい国家を創らせるんです。そうでなければフェザーンは普通の国家になりません」

地球教とは無関係の人間が何人、いや何万と死ぬだろう。怨め、憎め、罵れ、だが俺は退くつもりは無い。ここまで来た以上、中途半端に終わらせる事は出来ない。貴族達がルドルフの負の遺産なら地球教と連中が作ったフェザーンは人類の負の遺産に等しい。切り捨て、叩き潰さなければならない……。

フェザーン劫掠、だな。貴族達にとっては人生最大のそして最後の楽しみだろう。その思い出を持って地獄に行け、俺は親切な男なのだ、あの世で退屈しないように思い出を作らせてやる。そして精々派手に楽しめ、その事がフェザーンを崩壊させるだろう、フェザーンは貴族と地球教の終焉の地となる……。俺はお前達の最後の饗宴を楽しく拝見させてもらう、それがどれほど醜悪で有ろうとも……。




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