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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十九話  終焉の地
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「……」
溜息が出た、私だけじゃない、ミハマ中佐もだ。悪魔と取引するのはこんな感じかもしれない……。



宇宙歴 795年 10月13日    第一特設艦隊旗艦 ハトホル     エーリッヒ・ヴァレンシュタイン



レムシャイド伯に呼ばれた三時間後、俺は自室でトリューニヒト、レベロ、ホアンの悪徳政治家、それプラス嘘吐き軍人のシトレと話し合っていた。俺は性格的にこいつらと仲が良いわけではないんだが、仕事だからな。宇宙の平和のためにやむなく悪党共と協力している。

『トリューニヒトから話しは聞いた。貴族達をフェザーンに攻め込ませる事でボルテックをサンフォード議長に泣き付かせようという事か……』
「まあそんなところです」
俺の言葉にレベロがウーンと声を上げた。

『上手く行くかな、皆心配しているのだ。一つ間違うと主戦派を勢いづかせるだけだろう』
今度はホアンだ。
「上手く行かせるんです。向こうは本気ですよ、一千万人以上切り捨てる覚悟をしています。虫のいい願いかもしれませんが何処かであの連中は無力化しなければならないのも事実なんです。同盟領に攻め込んでくれるのなら大助かりですよ」
皆渋い顔だ。ノリの悪い奴は嫌われるぞ。

「貴族達が同盟に攻め込もうとしていると同盟側に正式に伝わった時点で最高評議会で同盟領内で迎撃すると宣言してください。その上で貴族達をフェザーンに攻め込ませるんです。サンフォード議長はなんとかフェザーンを救おうとするでしょうが兵の運用は軍に一任という事で突っぱねてください」
『……』

「ボルテックはサンフォード議長が当てにならないとなればトリューニヒト国防委員長に接触する筈です。何とか助けてくれと泣きついて来る。そこでボルテックにサンフォード議長を切らせるんです。助けて欲しければサンフォード失脚の材料を提供しろと言うのですよ。それを利用してサンフォード議長を失脚させる、そして政権を取る!」
四人が唸っている。“なるほど”、“上手く行くかも”等と言っている。

『実際には貴族達がフェザーンに攻め込む前に帝国領へ踏み込んでの迎撃戦という事かね?』
「いえ、フェザーンは一度貴族達に占領させます」
シトレと俺の遣り取りに他の三人が、いやシトレを含めて四人が驚いた様な表情を見せた。

『正気かね、君は』
レベロが俺を非難した。
「正気です、その方が勝ち易いですからね」
『しかし』
言い募ろうとするレベロを遮った。

「レベロ委員長、貴族連合なんて烏合の衆ですよ、軍規なんて欠片も有りません。フェザーンを占領したら連中遣りたい放題でしょうね。略奪、暴行、殺人、破壊、フェザーンは無法地帯になります。フェザーン人は大勢死ぬでしょうが心配はいりません。来年はそれを補う子供が沢山生まれます、父
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