第四十六話 俺ってそんなに嫌な奴か?
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何なのかな? 帝国人は彼を皇帝として受け入れられるのか? 大体貴族にもなっていない……」
俺が問い掛けるとヤンは“権威ですか”と言ってちょっと考えるようなそぶりを見せた。
「さあどうなんでしょう、何とも言えませんね。……ところでブラウンシュバイク、リッテンハイム両家の娘達はどうなったんでしょう、殺されたとは聞きませんが……」
「俺も聞いていないな。……生きているんじゃないか、二人とも。一時は女帝候補者だったんだ、殺されれば騒ぎになるだろう」
ヤンが二度、三度と頷いた。
「だとすると反発が有るのであれば彼女達のどちらかと結婚するという方法が有りますね。女系でゴールデンバウム王朝と繋がるんです。現皇帝を廃して女帝夫君としてゴールデンバウム王朝を存続させながら実質的に乗っ取るか、簒奪してから妃に迎えて前王朝と繋がっているとアピールするか……、権威的な面での反発はかなり軽減できると思います」
「なるほど……」
そういう抜け道が有ったか、確かにそれなら可能かもしれない。
「彼、結婚していましたか?」
「していたんじゃないのか? 皇帝の寵姫を下賜されただろう、あれって結婚じゃないのかな?」
「なるほど、下賜って結婚でしたか……」
ヤンが頭を掻きながら苦笑を浮かべた。俺も苦笑いだ、帝国では人を物の様に遣り取りする。
「あとは自らの力で権威を確立するという方法も有ります」
「というと?」
「外征により圧倒的な戦果を挙げる。同時に政治改革で帝国民衆の圧倒的な支持を得る。ナポレオン一世はそれによって皇帝になりました。ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムだって連邦市民の圧倒的な支持で皇帝になったんです。彼も同じことをするかもしれない」
「なるほどな」
どっちを取るのか……。結婚によって帝位を得るか、それとも軍事、政治的な成果により皇帝への道を選ぶか……。或いは皇帝にならず実力者で終わるという事も有るだろう……。
「厄介な相手だな」
「ええ、厄介な相手です」
水割りを飲もうと思ったがグラスは空になっていた。もう一杯飲むか、悪酔いしそうだが、素面では居られそうにない。……エーリッヒ・ヴァレンシュタインか、……厄介な相手だ。
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