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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
脱走
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ないことは確かだと思える。
まさかモンスターまでは出ないだろうと思いつつも、一応レイピアの柄に手を添えながら数分歩くと、ようやく木の葉のカーテンの向こうに世界樹の本体と思われる巨大な壁が見えてきた。
枝と幹との接合部分の上にぽっかりと木のうろのような穴が黒く口を開け、小路はその中へと続いている。
すぐ前まで来てみたが、楕円形のその奥には樹木に模してあった外部とは違い、明らかに人工的な長方形のドアがあるのが分かった。ノブに類する物はないが、タッチパネルのようなプレートが据えられている。
そこに指先を触れさせると、音もなくドアが右にスライドしたので素早く身体を滑り込ませる。
その内部は、そのままかなり奥へと続く、オフホワイトの直線的な通路だった。
薄暗く、所々でオレンジ色の照明が無機質な壁面を照らし出し、そのおかげで解像度ギリギリの距離で通路が左右に分かれている事が判った。
まるで、ゲーム世界が突然オフィスの書庫か何かに変わってしまったかのような、それほどまでの無機質さ。
白い無地の床を踏む剥き出しの足から、ひんやりとした冷気が伝わってくる。寒さを感じたのか、背中のマイが小さく身じろぎしたのを感じた。
それに努めて明るい笑顔を浮かべながら、アスナは首を巡らせた。
「さてと。これでいよいよ脱出ゲームスタートって感じなんだけど。マイちゃん、どっちに行けばいいとか分かっちゃったりするかな?」
アスナの笑顔につられたように、純白の少女は見た者全てがほころぶような笑顔を顔一杯に浮かべた。
こういう時に、本当に一人ではなくて良かったと思う。
もしアスナだけだったなら、敵の牙城の中に侵入し、もう後戻りができないという事実に足がすくみ、一歩も先に進めなくなっていたところだ。
次いでマイは、人差し指を自らのおとがいに当てて考え事をするかのように天井を仰ぐ。
数秒ほどして後方から伸ばされた人差し指の先は、真っ直ぐアスナの右斜め前方を指していた。
「んー。分かんないけど、たぶんあっちかも」
「右ね。オッケー」
そう言ってから少し考え、彼女をおんぶの姿勢から肩車へと移行した。
万が一戦闘行為になったとき、多少の危険性はあるが、その後の回避行動の確実性を高めるためだ。
わーい、とはしゃぐ声が頭の上から降ってくる。
あの、マイさん、ここ敵地の真っ只中という事あなた分かってますか?
揺すられる肩の上に、危ないよーと緊張感もへったくれも無い言葉を投げかけながら、アスナは角を右に曲がる。
その先にはまた真っ白な直線的な通路。今度はどんなに目を凝らしても、曲がり角など見えない。
うへぇ、と二人してため息を吐いてから、さっそく鉛のように重くなっている足をどう
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